最近人気を集めているALC外壁。軽量かつ耐久性が高い、地震に強く、耐用年数(寿命)もかなり長い…と、かなり優秀な外壁材です。
その優秀さから『安心して暮らせる』ことが、大きな人気の理由となっています。
そんな優秀な外壁に言うのは気が引けるのですが…じつは、ALC外壁は、私たち『雨漏りの専門家目線』で見た場合、雨漏りに繋がりやすい、2つの弱点があるんですよね(汗)。
いろいろな情報を見ても、ALC特有の弱点はあまり認識されていません(優秀さが目立っていますからね)。というわけで、この記事で『ALC外壁で雨漏りに繋がりやすい弱点や原因、そして対策』をまとめてみました。
ALC外壁は非常に耐久性に優れている!
ALCは『軽量気泡コンクリート』とも呼ばれ、独立した気泡が無数に存在する多孔質の外壁です。構造としてはサイディング外壁と同じように、独立したそれぞれのパネルを、1枚づつ下地に張り付けて作られています。
耐久性は高く、なんとその耐用年数はおよそ60年!
日本で最もポピュラーなサイディング外壁が20~30年ということを考えると約2倍、圧倒的に耐久性に優れた外壁材と言っても過言ではありませんよね。
また、非常に軽量な素材の為、耐震性に優れているのも大きなメリット。総じて『耐久度』が高い屋根材と言えます。
が、じつは冒頭で申し上げたとおり、『雨漏り観点』で見た時に決して無視できない2つの弱点があるんです。
“雨漏り観点から見た”ALC外壁の弱点
高い耐久性や耐用年数の影に隠れがちですが、ALC外壁には以下のような弱点が存在します。
- 防水性が低い
- (パネル同士の)繋ぎ目が多い
弱点1.防水性が低い
雨漏りを防ぐうえで、防水性は非常に重要なポイント。しかし、残念ながらALC外壁は防水性が非常に低いんです。
というのも、ALC外壁は、先に説明したように『多孔質』な外壁。そのため、水を吸いやすいといった特徴があるんですよ。
ALC外壁内部には強度を増すために鉄筋が使われていますが、侵入した水分によってサビが発生・膨張し、外壁の破損に繋がります。
もちろん、防水性をカバーするために防水塗装はしっかりと施されています。が、防水塗装は約10年を目安に効果が落ちてしまいますので、ALCが持つ圧倒的な耐久性を活かしきれず、定期的なメンテナンスを必要とするわけです。
弱点2.(パネル同士の)繋ぎ目が多い
ALC外壁はパネルを1枚づつ張り付けて作られますが、その際にパネル同士に繋ぎ目部分には隙間ができてしまいます。
じつはこの隙間が雨漏りに繋がりやすい、もう一つの弱点なんですよ。
ALCパネルは一枚一枚のサイズが小さい為、繋ぎ目もかなり多くなります。この継ぎ目にある隙間をコーキング(隙間を埋める素材)にて塞いでいるわけですが…。
じつはコーキングは紫外線や雨風により10~15年ほどで劣化してしまいます。コーキングで塞いでいる部分が多い分、コーキングの劣化によるひび割れや剥がれのダメージは相当なものになってしまうわけです(汗)。
ALC外壁からの雨漏りを未然に防ぐための2つのポイント
ALC外壁を採用した家屋では、以下2つのポイントが重要になります。
- セルフチェックで早期異常発見
- 定期的な業者メンテナンス
ポイント1.セルフチェックで早期異常発見
ALCパネルは比較的セルフチェックしやすい外壁ですので、ある程度は自分でも異常がないかを確認することが可能です。
難しいことはなく、シンプルに『目視で異常がないか』『手で触って異常がないか』を、以下の基準に沿ってチェックしてみましょう。
- ALCパネルにひび割れや破損、剥がれなどなないか?
- ALCパネルを触って白い粉が手につかないか?
- コーキングにひび割れや剥がれはないか?
破損はもちろんですが、外壁を触って手に白い粉がつくのは『塗装劣化の証拠』。ALC自体は防水性の低い素材ですから、塗装劣化はかなり深刻なダメージにつながるので、特に注意が必要です(汗)。
異常があった場合は応急処置を!
破損や塗装剥がれがあったら、すぐ雨漏りしてしまう…というわけではありません。が、そのままにしておけば外壁は雨水を吸ってしまいますし、コーキングの破損からは雨水が少しづつ浸入してきます。
いずれ必ず雨漏りへと発展してしまうので、それ以上劣化が進まないよう、応急処置を行いましょう。
効果的な応急処置としては以下の2つ。
- ブルーシートで塗装剥がれや破損箇所を隠す
- 防水テープで破損箇所を塞ぐ
どちらもホームセンターで簡単に手に入り、なおかつ安価でオススメです。シンプルではありますが、効果は高いので、ぜひ実施しておいてください。
異常を見つけた場合は、最終的に必ず業者へ相談すべし!
応急処置は根本改善ではありません。身体の怪我と違い、時間が経てば自然と治る…というものでもありません(汗)。
異常が見つかった場合は、応急処置で被害が広がらないようにし、素直に業者へ相談するようにしてください。
ポイント2.定期的な業者メンテナンス
残念ながら、どれだけ注意をしていても、素材の劣化を完全に防ぐことはできません。
そのため、セルフチェックをしていたとしても、いつかは『専門的なメンテナンスが必要となるとき』が必ずやってきます。
重要になるメンテナンスは以下の2つ。
- 塗装メンテナンス
- コーキングメンテナンス
外壁の塗装メンテナンス
ALCは防水性が低い材質ですから、塗装による防水対応が必須。
塗装劣化をしっかりとメンテナンスをすることにより、ALC外壁本来の耐用年数が維持できます。逆に塗装メンテナンスを怠れば、本来の耐用年数よりも早く寿命を迎えてしまうことに(汗)。
防水塗装は約10年ほどを目安に効果が落ちてしまうので、少なくとも10年に1度は業者によるメンテナンスを依頼した方がよいでしょうね。
【オマケ知識】ALC外壁の塗料選びはデリケート
じつは、ALC外壁の塗装に使う塗料は何でもいいという訳ではありません。
塗料にも様々ありますが、じつは塗料には透湿性の高い物と低い物が存在しており、ALCの場合は透湿性の高い物を推奨されています。
透湿性は湿気や水蒸気を外に逃がす働きのこと。
- 透湿性が高い:家の内側から発生した水蒸気が外へ逃げる
- 透湿性が低い:家の内側から発生した水蒸気が逃げられず、吸水されて、外壁の膨れや剥がれに繋がる
透湿性によって、以上のような違いがあります。
じつはALC外壁の天敵である水分は外部からだけではなく、家の内側から発生した水蒸気をも吸水してしまう恐れがあるんですよ。
ですので、内側からの吸水を防ぐために透湿性の高い塗料が推奨されているんですね。
コーキングメンテナンス
コーキングは塗装に比べて『自分で実施』ができる部類です…が、ALC外壁のコーキングメンテナンスはなるべく業者に依頼することをオススメします。
なぜなら、ALC外壁はパネルが小さい分、隙間が多い→必然とコーキング部分も増えるから。
素人が行うコーキングメンテナンスは、やはり専門家が行うものに比べてすぐに剥がれてしまうことも珍しくありません。ALC外壁は隙間が多い分、コーキングの剥がれは致命的です。
コーキングの耐用年数は一般的に約10年ほどですが、晒されている環境によってかなり耐用年数にバラ付きがでます。そのため、できれば5年〜ほどの単位で業者メンテナンスを実施できると理想的です。
ALC外壁のメンテナンスは業者選びに要注意!
人気の外壁ではありますが、ALC外壁はまだまだ他の外壁材と比べてシェアが少ないのが現状。つまり、それだけ『取り扱っている業者が少ない』ということです。
例えば、先ほども少しご説明した『塗装がデリケート』など、ALC特有の性質に精通した業者に依頼しないと、せっかくメンテナンスをしたのにむしろマイナスに…なんてことも(汗)。
それを防ぐためにも、相談の際には必ず『ALC外壁の施工をしたことがあるか』は確認してくださいね!
優秀なはずのALC外壁で雨漏りが起きてしまう原因とは?.まとめ
では最後に、ここまでの内容をまとめましょう。
ALC外壁で雨漏りに繋がる2つの弱点は…⬇︎
- 防水性が低い
- (パネル同士の)繋ぎ目が多い
ALC自体の耐用年数は60年と長いが…⬇︎
防水塗装も(継ぎ目をカバーする)コーキングも、約10年で劣化してしまう。
ALC外壁で雨漏りを未然に防ぐための2つのポイントは…⬇︎
- セルフチェックで早期異常発見
- 定期的な業者メンテナンス
大前提として、ALC外壁が非常に優れた外壁材というのは間違いありません。
しかし、どんな外壁材でも雨漏りしないということはなく、問題となりうる箇所を理解し、適切なメンテナンスをする必要があります。
ぜひこの記事の内容を活かし、雨漏りのない、安心した暮らしを送ってくださいね。
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