家屋にとって欠かすことのできない屋根。瓦やスレート材など、様々な屋根材で作られた屋根が存在しますが、共通して言えるのは『厄介な雨漏りから家屋を守ってくれている、大切な傘の役割を担っている』ということですね。
そんな重要な役割を担っているため、屋根材に劣化や破損など、何かしらトラブルが起きると「即雨漏りしてしまうのでは…?」と思われてがちですが、じつはそうではありません。
その理由は、どんな屋根材で作られた屋根であっても、その内側には『ルーフィング』という最終防波堤が存在するから!ですから、屋根材が破損してもすぐに雨漏り…というわけではないんですね。
あまりルーフィングの存在を知っている方は多くありませんので、この記事では『ルーフィングとは?』という観点を起点に、ぜひ知っておいて欲しい情報をまとめました!
この記事を読めば、家屋を雨漏りから守る縁の下の力待ち『ルーフィング』について丸わかり。ぜひ読んでみてくださいね。
ルーフィングとは?
ルーフィングとは、簡単に言うと『防水紙』です。
防水シートや下葺き材とも呼ばれ、屋根材を通り抜けてきた雨水を防いでくれる頼もしい存在。
(極端な話ですが、屋根材がなくてもルーフィングさえあれば雨漏りが起こらないともいえます…本当に極端な話ですけどね(笑))
ルーフィングはどこにある?
あらゆる屋根に搭載されているルーフィングですが、おそらく見たことがある人はほぼいないでしょう…。
それもそのはず、ルーフィングはそもそも『目に見える場所に存在しない』縁の下の力持ちだから。
屋根材→ルーフィング→野地板(屋根の下地となる板)→垂木(屋根全体を支える骨組み) という構造となっており、表面の屋根材の真下に施工されているわけです。
(ちなみに、ルーフィングよりさらに内側にあるのが野地板、垂木と言った屋根の下地や骨組みとなります)
このルーフィングが屋根材の下で雨水を食い止めてくれることで、屋根材トラブルが発生しても即雨漏りには繋がらない構造となっています。
屋根材とルーフィングの関係
屋根材とルーフィングの関係は
- 屋根材→一次防水
- ルーフィング→二次防水
とされており、雨水が一次防水である屋根材を通り抜けてしまったとしても、二次防水であるルーフィングが雨の浸入を防ぐ、といった二段構えの防水仕様となっています。
そのため屋根材にひび割れなどの破損が起きたとしても、浸入してきた雨水はルーフィングによってシャットアウトされ、すぐに雨漏り…ということにはならないんです。
屋根は”屋根材”と”ルーフィング”があって成り立つ!
先ほども言いましたが、極論、屋根材が無くてもルーフィングさえあれば雨漏りは防げます。
しかし…本当に屋根材がなかったとしたら?
(見た目が悪いのは当然の話として)ルーフィングに雨風や紫外線が直撃することになってしまいます。つまり、ルーフィングの劣化が激しくなってしまうわけです。
そこで(繰り返しますが、見た目を保つのも当然でありつつ)屋根材が一次防水を受け持ちつつ、ルーフィングを劣化から守り、いざと言う時を二次防水であるルーフィングに託す、という構造になっています。
つまり、屋根は『屋根材』と『ルーフィング』、両方があって初めてしっかりと雨漏り対策が行えるわけですね。
ルーフィングでよくある”2つ”のトラブル
屋根の防水において最終防衛ラインであるルーフィング。
ですから、ルーフィングそのものにトラブルがあった場合…その下には何も守るものがないため、雨漏りのリスクは一気に跳ね上がります(汗)。つまり、ルーフィングトラブルは、ある意味で屋根材トラブル以上に危険ということ。
よくあるルーフィングのトラブルは、主に2つあります。
- 経年劣化
- 施工不良
トラブル①.ルーフィングの経年劣化
雨漏りは基本的に屋根材や外壁など、どこかしらの部材が劣化→破損が主な原因ですが…じつは、ルーフィングに関しても例外ではありません。
ルーフィングはそもそも耐用年数(いわゆる『寿命』ですね)が一般的に15〜20年ほど。よほど拘った家屋でもない限り、このグレードのルーフィングを利用しているでしょう。
ですから、築15〜20年経過した家屋であれば、すでにルーフィングの耐用年数は経過しているということですね。
屋根材の不具合が、ルーフィングの耐用年数を縮める…
もしも屋根材にトラブルが発生すると、一次防水を通り抜けて、直接二次防水であるルーフィングにダメージを与えるようになります。たとえば…
- 屋根材の破損
- 屋根材のズレ
- 雨仕舞板金の破損(屋根に流れる雨水を適切に排水する為の金具)
などなど。このような不具合が屋根材に発生すると、ルーフィングが直接雨風に晒される状態が生まれてしまいます。結果、通常のルーフィングよりも一気に劣化速度が上がってしまうので、屋根材のトラブルには十分に注意が必要です。
トラブル②.ルーフィングの施工不良
これは結構悲しい現実でうが…以下のように『職人さんの施工不良が原因』で発生する不具合もあります。
- ルーフィング固定時の施工不良
- ルーフィング繋ぎ目の施工不良
ルーフィング固定時の施工不良
種類にもよりますが、ルーフィングはタッカー(大きいホッチキスのような道具)を使い、針で下地である野地板に固定します。
その際、針の角度が悪いと浮きが発生してわずかな隙間ができるんですよ。
そういった隙間は雨の通り道となってしまうので、そこから雨漏りが発生してしまうんですね…。
ルーフィング繋ぎ目の施工不良
ルーフィングは野地板に一枚づつ張り付けて施工されますが、その時、必ず繋ぎ目部分を重ねる必要があります(基準として上下で20cm以上、水平方向では10cm以上)。
しかし、施工時に基準に満たしていない貼り方や、そもそも重ねていないなんてことがあったとしたら…ルーフィングで保護されていない箇所ができてしまいます。
ルーフィングで保護されていないということは…すでに『屋根として成り立っていない』ということ。そこから雨漏りしてしまうのは容易に想像できますね(汗)。
基本的に『屋根からの雨漏りを自分で修理』はNG!
最近はDIYによって、自身で屋根からの雨漏りを直す方も増えていますが…雨漏りの専門家から言わせていただくと、それはNGです。
なぜなら…そもそもですが、あなたは『ルーフィング』の存在を知っていましたでしょうか?
一般的に、ルーフィングの存在を知らない人が大半です。ルーフィングはただでさえ自分で見ることができない物なので、雨漏りに対して正しい知識がなければそもそもルーフィングの存在を知っている方のほうが少ないんですよね。
ですから、当然のように『ルーフィングに関する正しい知識』はもちろん、そもそも『屋根からの雨漏り発生時は、ルーフィング対応が必要となるケースも多々ある』という事実すら知らないわけです(汗)。
雨漏り発生=ルーフィングにもトラブルの可能性大!
一度雨漏りが発生してしまったということは、その雨水は何かしらの形でルーフィングを突破してきているということ。つまり、ルーフィングにも破損などのトラブルが起きている可能性が高くなります。
ですから、ルーフィングの存在を知らない方が、屋根材だけを直して雨漏りを止めようと思っても、それだけでは不十分なケースが多々ある、ということです。
ルーフィングの存在、トラブルに気づくことができなければ、ちょっとした屋根材トラブルでも、即雨漏り!…というような『つぎはぎだらけ/欠点だらけの表面修理』ということになりかねません(汗)。
屋根の雨漏りは、素直に専門家に相談してください…!
ここまで説明したように、屋根からの雨漏りにはルーフィングが大きく関わっており、適切に修理するには自分の手では非常に難しいと言えます。
そのため、しっかりと専門家の手で
- ルーフィングを含め屋根のチェック
- 状況に応じた適切な修理
をしてもらう必要があります。
ですから、屋根の雨漏りはご自身での修理を考えず、基本的に『専門家に確認依頼を行う』ことを強くオススメします!
雨漏りを防ぐうえで知っておくべきルーフィングとは?:まとめ
では最後に、この記事の要点を簡単にまとめていきますね。
ルーフィングとは…⬇︎
ルーフィングと屋根材の関係は…⬇︎
- 屋根材:一次防水
- ルーフィング:二次防水
の二段構え防水構造!
ルーフィングでよくある2つのトラブルとは…⬇︎
- 経年劣化
- 施工不良
屋根からの雨漏りを自分で直してはいけない理由…⬇︎
雨漏り修理の正しい知識を持っていないと、ルーフィングの存在をそもそも知らず、正しい対応も行えないから!
屋根からの雨漏りを防ぐという点において、屋根材だけでなく、ルーフィングの存在が非常に重要。
普段目には見えないからこそ、しっかりと定期的にチェックをしてもらい、雨漏りがあった場合は業者に相談してしっかりと直してもらうようにしましょう!