- 鉄筋コンクリート製でなく、木材住宅なら、ぜひ読んでおいて欲しい記事です!
「雨漏りすると、家屋の木材が腐ってしまいます!」
これは雨漏り被害の基本中の基本ですが、実際どうして木が腐ってしまうのか、どれだけの速さで腐ってしまうのか、そして、その後木材はどうなってしまうのか。
『濡れたら腐ってダメになる』というイメージは誰にでもあるかも知れませんが、具体的になぜ腐るのか?腐ったらどうなるのか?ということまで理解している方は意外と少ないですよね。
このような意識のため、実際に雨漏りが起きても「ちょっとぐらいだし平気でしょ」とそのままにしてしまう方は少なくありません。
これってつまり、木が腐るということへの『危機感の弱さ』からきていると思うのですが…ハッキリ言うと、それはとても危険なこと!
もしあなたが、家屋の木が腐ることに対して軽く考えているのなら、取り返しのつかないことになるかもしれません。
(手に負えない雨漏り被害の原因・雨漏り修理費用が跳ね上がる原因は、この『木が腐ること』にあります)
今からでも遅くはないので、ぜひこの記事を読んで、大事な家を守ってください。
木材を腐らせる、たったひとつの原因
それは、木材が雨漏りによって濡れることで発生してしまう『腐朽菌』が原因です。
まさに名前のとおりですが、この菌が雨漏りによって木を腐らせてしまうたった一つの原因なんです。
この腐朽菌は木材の主成分を分解し、それに伴い成長。その結果として腐食が進み、その木材の強度を著しく低下させてしまうんですね。
しかも初期の段階では、発生個所に形状の変化などは分からないのでタチが悪いのです。
こんなタチの悪い腐朽菌ですが、さらに恐ろしいポイントが2つあります。
- 腐朽菌の進行速度
- 腐朽菌の発生条件
注意ポイント1.腐朽菌被害の進行速度は非常に早い!
腐朽菌が発生し、木材の強度が低下してしまうまではあっという間です。
たとえば腐朽菌と同じく、木材の強度を低下させてしまう現象としてよく比較されるシロアリ。
シロアリ被害はその数に応じて『徐々に』木材の強度が低下していくのに対し、腐朽菌は最初から『全速力』で強度低下が進みます。
被害の進行が速い理由
その理由は腐朽菌が分解してしまう木材の成分にあります。
腐朽菌は、木材の成分のうち『木材全体を支える大黒柱役』の成分(セルロース)を分解してしまう作用があるんです。
大黒柱であるセルロースが分解されてしまうので、あっという間に木材の強度が低下してしまうんですよ。
注意ポイント2.腐朽菌の発生条件
腐朽菌の発生条件は、非常に簡単に満たされてしまいます。
- 菌の栄養源となる成分があること(この成分はほとんどの木に含まれている)
- 温度が24~32℃であること
- 酸素があること
- 木材に含む水分率が30~150%であること
どう考えても簡単に達成されてしまいすよね(汗)。
1-3に関して言えば、日本の家屋に使われている木材である以上、ほとんどが『最初から満たしている』状態になってしまいます。
腐朽菌の発生を防ぐための最後の砦が『木材に含む水分率』なんです。
にも関わらず、木材が雨漏りで濡れてしまおうものなら…あっという間に腐朽菌が発生し、急速に木材の腐食が進んでしまうことになります。
雨漏りで木材が腐ると、こんな被害に…
木が腐ってしまった場合の被害は、おそらくあなたが考えている以上に厄介でしょう。
特に注意したい被害はこのようになっています。
- 家屋自体の強度低下による被害
- バカ高い修理費による経済的被害
- シロアリ被害
家屋自体の強度低下による被害
木材の強度低下=家屋の耐震性の低下!
そのため、腐食がひどい場合は地震時に倒壊の怖れも考えられます。
また、木材の腐食は耐風性も低下させるので、屋根材の一部が強風で飛ばされるといった被害につながるケースも多くなります。
天井裏の腐食が進めば、最悪の場合天井が落ちてしまうことも…。
バカ高い修理費がかかる恐れ
木材が腐ってしまうと、その部分はもう元に状態に戻ることはありません。
そのため、それ以上の腐食を止めるために防腐剤を使用したり、樹脂で補修したりするのですが…ひどい場合は木材自体の交換につながる恐れも。
こういった修理費は、高い場合でなんと100万円を超えることもあるのです!
家のダメージだけでなく、経済的にも大ダメージを食らってしまうこともあるので、気を付けましょう。
シロアリ被害
「え?なんでシロアリが?」と思うかもしれませんが…シロアリの大好物は、じつは『湿った木材』。
腐朽菌が発生しているということは、木材が湿っている証拠。それにつられてシロアリが発生している危険も考えられます。
シロアリは家を食べ、家屋の強度を著しく下げますし、駆除するにしても高い代金が必要なので、ここでも経済的なダメージが考えられるので、非常に厄介なんですね。
シロアリに住み着かれれば本当に大変なので、雨漏りが起きたり、疑わしい場合は要注意です。
ただでさえ腐食で強度が下がっているところに、シロアリ被害が重なると、家屋はあっという間にボロボロになってしまいます…。
自分でできる、腐朽菌チェック方法
過去に雨漏りしたことがある場合はもちろんですが、屋根裏など『もともと湿気が溜まりやすい部分』には、すでに腐朽菌が発生しているかもしれません。
そこで、木が腐っているか、いないかのチェック方法をお教えしましょう。
やり方は単純。疑いのある個所を目で見て触ってみることです。
もし初期の段階ならば被害が目に見えることはないのですが…明らかに様子がおかしいのであれば、被害がかなり進行している証拠。
※天井裏に入る場合は十分に気を付けてくださいね。
ちなみに腐朽菌は主に2種類があり、それぞれに見た目などの特徴が違います。
- 白色腐朽菌
- 褐色腐朽菌
以下にそれぞれの特徴を記載しますので、チェック時の参考にしてください。
白色腐朽菌
白色腐朽菌の特徴は
- 発生箇所が『白色』に変色
- 発生箇所に豆粒大の穴が無数に開いている
褐色腐朽菌
褐色腐朽菌の特徴は
- 発生個所が『褐色』に変化(白色の場合もある)
- 発生個所に亀裂。木材の表面を指でつまむと粉上になる
家屋での普及は褐色腐朽菌の場合がほとんど。
白色腐朽菌よりも強度の低下がひどいので要注意です。
雨漏りによる木材の腐食を防ぐには?
雨漏りして木材が濡れてしまっても、それでもうすべてが終わりではありません。正しく対処できれば、被害を抑えることも可能です
そこで一番大事なのは木材を『乾燥』させること。
先ほどの腐朽菌の発生条件をもう一回見てもらえれば分かりますが
- 菌の栄養源である成分があること(この成分はほとんどの木に含まれている)
- 温度が24~32℃であること。
- 酸素があること
- 木材に含む水分率が30~150%であること
この中でどうにかできるのは4のみ。
濡れてしまった木材を乾燥させることが被害を防ぐうえで重要なんです。
感想させることができれば、木材の含水率は30%未満に抑えられるので、そうなれば腐朽菌の活動は停止するでしょう。
雨漏り被害が疑わしい箇所や、湿気の溜まりにくい屋根裏など、換気や通気をしてできるだけ乾燥させてください。
腐食が目に見えてひどい場合は要注意!
乾燥させれば腐朽菌は活動を停止します。しかし、先程も言いましたが木材は腐ってしまうと元には戻りません。
あくまで『それ以上の腐朽を食い止めただけ』ということです。
つまり、あなたの家の腐朽が目に見えてひどいようなら、もうすでに強度はないに等しい状態かもしれません。その場合は本当に危険なので、業者に相談してみてくださいね。
注意:根本原因の雨漏りを直さなければ、いたちごっこ!
雨漏りが起きているのなら、いくら乾燥をさせても、雨が降れば同じことの繰り返し。
ですので、根本的に解決するには雨漏りを修理する必要があります。
ちなみに、ちゃんとした修理業者は相談から簡易調査、見積もりは無料で行っていますので、料金が心配な方でも安心です。
雨漏りによる木材腐食のメカニズム:まとめ
ではここまでの内容をまとめますね。
- 雨漏りで木が腐る原因は腐朽菌
- 腐朽菌は発生しやすく、被害の進行も速い
- 腐朽菌が発生すれば家屋の倒壊やシロアリ被害があり、修理費も高額
- 木材の腐朽具合は目で見て、触ってチェック。白色や褐色になっている場合は危険
- 腐朽を止めるには乾燥させることが大事
- 雨漏りを直さなければ、腐朽被害は繰り返される
腐朽菌はただでさえ発生しやすい条件となっており、雨漏りが起きればあっという間に繁殖し、あなたの家を腐らせます。
そうなってしまえば、最悪の場合、家屋の倒壊といったことにもなりかねないので、疑わしい場合は放置せずにすぐ対処しましょう。
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