屋根の雨漏りで最も注意すべき”棟”を徹底解説【原因から対策まで】

この記事でわかるPOINT!
  • 棟で雨漏りが起きる原因
  • 棟からの雨漏りへの対策

屋根からの雨漏りでもっとも注意すべき重要な箇所は”棟”。屋根で起こる雨漏りの6~7割が棟が原因とも言われているほどです。

つまり…逆に言えば、棟からの雨漏りについて正しく知れば、屋根からの雨漏りを大幅に抑えることができるということ、ですよね。

というわけでこの記事では、棟における雨漏り原因、そして対策までを徹底的にまとめてみました。

これを読めば、屋根からの雨漏りをかなりの確率で抑えることができます。万が一の雨漏りトラブルに遭遇しても、最適な対処を取ることができるようになるでしょう。

ぜひ参考にしてみてくださいね。

目次

棟は雨漏りに弱いと言われる理由

それは、棟が構造上『隙間ができやすい箇所』だからです。家屋にとって『隙間』とは、雨漏りに対する最大の弱点。この弱点ができやすい箇所ですから、棟はどうしても『雨漏りに弱い箇所』と言わざるを得ません。

そもそも棟とは屋根面同士が重なり合う箇所。ですから、どうしても隙間ができやすいんです。

ですが、当然ながら作り手にとっても『棟は構造上隙間ができやすい箇所』というのは当然の事実。ですから、その対処として『雨仕舞』として棟板金を設置しています(雨仕舞は雨を適切に排出する施工のこと。具体的に言うと、棟部分に貫板という木材を設置し、そこに板金を被せて釘で打ちつけてあります)。

ここまでしっかり対策をしている…のに、それでも雨漏りに弱い(汗)。それが”棟”なんですね。

なぜ、これだけ対策をしていても弱点となってしまうのか…次は、そちらを解説いたします。

棟から雨漏りが起きる4つの原因

主な原因は以下の4つです。

  • 釘部分の不具合
  • 棟板金の浮き/剥がれ
  • 棟板金自体の劣化
  • 棟板金の重なりを埋めるためのコーキングが劣化

原因1.釘部分の不具合

先ほど少しご説明した『棟板金』の材質は金属ですので、その性質上

  • 気温が上昇し熱を持つと → 膨張
  • 気温が下がり熱が冷めると → 収縮

といった具合でわずかずつ変化します。この膨張と収縮が繰り返されることで、棟板金を止めていた釘が少しづつ浮いてしまうことがあります。

このように釘が浮くと、釘穴に隙間が生まれることになりますよね。この隙間から雨水が侵入してしまう、というわけです。

釘の”劣化”も原因に!

また、釘も当然ながら金属。しかも『雨風にさらされている』わけですから、釘自体が錆びてしまうことも珍しい話ではありません。

釘が錆びてしまうことで釘自身が変形したり、耐久性の低下で外れてしまったり…という不具合が発生します。

原因2.棟板金の浮き/剥がれ

じつは、棟板金はかなり軽量にできています。そのため、台風などの強風によって棟板金自体が浮いてしまった、剥がれてしまう…なんてことが起こり得ます。

これは原因1でご説明した『釘が浮いている』『釘が錆びている』といった被害が合わさると、より高い確率で発生するようになります。棟板金の固定そのものが弱くなってしまうからですね。

棟板金そのものが浮き上がったり剥がれてしまった場合は、かなり深刻な雨漏り被害となってしまうので注意が必要です。

原因3.棟板金自体の劣化

これは棟板金自体が錆びてしまうことで発生するケース。金属は腐食してしまうと最終的に穴が空いてしまうので、ここまで棟板金自体が劣化してしまうとどうにもなりません。

棟板金に穴が空く = 弱点が晒される ということ。この状態になってしまうと、雨漏りするのは避けられません…。

原因4.棟板金の重なりを埋めるためのコーキングが劣化

屋根形状が複雑になれば、その分棟も増えていきます。そうすると、どうしても『棟板金自体が重なってくる箇所』というものが出てきます。

この『棟板金の重なり部分』は隙間となってしまいますから、この隙間はコーキング(部材の隙間を埋めるゴム状の素材)処理を施し、カバーしています。

ところが、このコーキング自体も『劣化することは避けられない素材』です。経年劣化によりひび割れなどが発生してしまいます。

棟板金の隙間を埋めていたコーキングが劣化 → コーキングのヒビから雨水が侵入 → 雨水が棟板金の隙間に侵入 → 弱点に雨水が… という流れですね。

棟からの雨漏りを防ぐには”セルフチェック”が一番!

残念ながら『棟からの雨漏りを完全に一生涯防ぐ方法』はありません。なぜなら、経年劣化が原因となる以上、どうしても『時とともにリスクは高まる』からです。

そこで重要なのが『セルフチェック』です。なぜなら、棟トラブルは比較的目視しやすく、また早期発見がそのまま被害の縮小/防止に繋がるからですね。

というわけで、ここでは誰でもできるセルフチェックのポイントを解説します。

ポイント1.棟板金が浮いたり剥がれたりしていないか?

棟板金の剥がれや浮きは、目視でも分かりやすいトラブルです。定期的にチェックしていれば『気づかず雨漏りまで発展していた』という自体はかなり防げるでしょう。

双眼鏡やスマホカメラなどでできるだけ入念にチェックしてみてください(直接登って確認するのが確実でしょうが、高所作業となりますので…)。

特に台風や強風が発生した翌日などは、チェックしてみることをオススメします。

ポイント2.サビが発生していないか?

こちらも目視で確認可能な部類ですね。

極端な話、『新築家屋の棟(板金)が錆びている』ということはまずありません。ですので、基本的には『耐久年数に近づいたら』入念にチェックしておきたいポイントです(もちろん例外はありますが)。

棟板金の耐用年数目安は?

棟板金の材質は主にトタンとガルバリウム。ということで、この2つの耐用年数をご紹介すると…

  • トタン→10~15年
  • ガルバリウム→20~30年

というように、じつは同じ棟板金と言っても、材質によって耐用年数には大きな違いがあります。

最近の家屋はガルバリウムが主流で、耐久性もかなり高いものが増えています。逆に、昔に建てられた家屋はトタンを採用しているケースが多くなります。言い換えれば、トタンを採用している場合、すでに耐用年数を超えている可能性が高い…ということですので、より入念なチェックを行いましょう。

ポイント3.庭に釘や板金が落ちていないか?

強風で棟板金が剥がれたりすると、板金自体や、止めていた釘が抜けてしまって庭に落ちている…なんてことがあります。

もし台風や強風発生の翌日に、庭に見慣れない板金や釘が落ちていたら…棟にトラブルが起きていないかをチェックした方がよいでしょう(特に…釘よりも板金が落ちていたら、事態は深刻)。

ポイント4.強風時に屋根上で異音がしないか?

棟板金が浮いている、もしくは剥がれそうな状態であれば、強風の際に棟板金が煽られていることがあります(前記したように、棟板金自体は比較的軽いので)。

この場合、屋根上で『明らかに変な音』がしています。特に台風の時期は注意して聞いてみてください。

台風が終わった → 雨漏り被害はなかった、安心!…と終わる方が多いですが、じつは『家屋に深刻なダメージを受けている』状態となっていることは少なくありません。この段階でチェックしていれば被害が最小で済んでいたはずなのに…なんてことにならないよう、チェックしてみることをオススメします。

棟にトラブルを発見した場合、どうすればいい?

この場合は、当然ながら被害に応じた修理を行う必要があります。棟はそもそも『弱点』ですから、ここのトラブルを放置することは雨漏りに直結しますからね…。

ただし、棟の修理を自分で行うのは『総じて難しい部類』になります。

棟板金(および釘)にトラブルが起きている場合…

この場合、残念ながらご自身での対応はほぼ不可能だと思ってください。

棟板金のトラブル対応には

  • 棟板金の交換
  • 棟板金の打ち付け
  • 棟板金の再塗装
  • カバー工法や葺き替えといった屋根全体のメンテナンス

といった、見るからに『職人技』と呼ぶようなものがズラッと並びます。なぜなら、棟板金のトラブルは『部品の破損/欠損』ケースが大半になりますので、知識/技術なく手を出せる範囲ではありません。

もともと『棟板金は弱点を補強している部分』ですから、ここのトラブルに中途半端な対処は焼け石に水…残念ながら、この場合は素直に『すぐ専門業者に連絡』です。

火災保険が適用できるケースが多いです

じつはこのトラブルが発生している場合、火災保険が適用できるケースが多いのが特徴です。というのも、火災保険に含まれている『風災』はその名のとおり、風の災害。つまり台風や強風による被害が含まれているんですね。

棟板金が浮いた/外れた/破損した…などの被害は強風によって発生することが多いので、必然的に火災保険が適用できるケースが多い、というわけです。

ただし、火災保険の適用には、いくつもの手続きと必要書類、そして『保険会社に台風が原因として認められる』ことが必要。この手続きは、知識のない方が行うのはかなり困難と言えます。

ですから、総じて『棟板金トラブルは、素直にすぐ専門業者に相談』が一番なんですね(経験豊富な業者なら、火災保険申請サポートなども行なってくれます)。

コーキングのトラブルが起きている場合…

『セルフチェックしたら、コーキングがボロボロになっている箇所があった』などの場合は、ご自身でも対処が可能な範囲かもしれません(あくまで『可能かも』というだけです。決して推奨はしておりません)。

コーキング剤自体はホームセンターなどで買うことができますので、劣化してひび割れしている部分にご自身でコーキングを施すことで、最低限の補強は可能でしょう。

コーキングでの補強が難しい場合は、防水テープなどで補強するだけでも効果はあります。

【注意】ご自身での推奨しているわけではありません!

ただ、もう1度言いますが『ご自身での対処を推奨しているわけではない』ということは、十分にご理解ください。

棟トラブルへの対応は基本的に高所作業となりますので、非常に危険が伴います。また、こういった『表面上の対処』は、『すでに侵入した雨水による家屋ダメージ』を直すことができるわけではありません。

場合によっては、すでに家屋に侵入した雨水により、木材が湿っている/腐食している、といったトラブルにまで発展していることもあります。あくまで『ご自身での対処が可能な部類かどうか』という意味で捉えてくださいね。

基本的に、トラブル発見時は素直に業者に相談した方が安心確実です

例えば『なんとなく風邪気味…』などであれば、極端な話病院に行かなくても(専門家に相談しなくても)自然と治ることがあるでしょう。

ですが『家屋のトラブル』というものは、絶対に『自然治癒』ということが起こり得ません。必ず『処置』が必要です。

あなただったら、『必ず処置を必要とする、重大なトラブルに繋がる可能性のある怪我/病気』を追った時に、ご自身の自己判断と自己対処だけで乗り切ろうとするでしょうか…おそらく、専門家に相談しますよね。

『家屋のトラブル』は、これと同じだと思ってください。基本的に『自分でどうにかしようと思わない方がいい部類』であることは間違いありません。

できる限り、素直に業者に相談しましょう。その方が最終的に早く、スムーズにトラブルを解決できますよ。

屋根からの雨漏りで最も注意すべき棟を徹底解説!まとめ

では、最後にここまでの内容をまとめていきましょう。

棟が雨漏りに弱い理由は…⬇︎

棟は屋根面同士が重なり合う部分。つまり弱点である『隙間』がどうしても発生しやすい!

棟から雨漏りが起きる4つの原因は…⬇︎

  • 釘部分の不具合
  • 棟板金の浮き/剥がれ
  • 棟板金自体の劣化
  • 棟板金の重なりを埋めるためのコーキングが劣化

棟からの雨漏りを防ぐためのセルフチェックポイントは…⬇︎

  • 棟板金が浮いたり剥がれたりしていないか?
  • サビが発生していないか?
  • 庭に釘や板金が落ちていないか?
  • 強風時に屋根上で異音がしないか?

棟に雨漏りトラブルを発見した場合は…⬇︎

  • 棟板金トラブルは、諦めて即業者へ相談!
  • コーキングトラブルなら、自分で対応できるかも?(ただし非推奨)
  • 基本、トラブルが確認できたら専門家へ相談しましょう!

特に棟板金トラブルは『火災保険が適用できるケースが多い』という特徴も。専門家の力を借りて、無料修理を目指すのがオススメです!

この記事は以上となります。

これからも大事なお家で安心して暮らしていくために、ぜひこの記事の知識を役立ててくださいね。

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