- スレート屋根における雨漏り注意のポイント
- スレート屋根における雨漏りリスクへの対処法
屋根材と一口に言っても様々ですが、その中でも日本において特に普及しているのが『スレート屋根』と呼ばれるタイプ。
- 価格が安い
- 地震に強い
- 施工もしやすい
と三拍子揃っており、カラーバリエーションも多く、とてもオシャレ。そのため、採用される家屋はどんどん増えています。
しかし、あなたはそんな人気のスレート屋根の注意点をしっかり理解できているでしょうか?じつは、スレート屋根は・・・比較的『雨漏りに弱い屋根』になるのです。その原因は大きくスレート屋根の『材質』と『施工』に関わっています。
この記事では、そんなスレート屋根が雨漏りしやすい構造となっている理由はもちろん、どのような対処・メンテナンスが必要か?までしっかりとまとめておきました。
お気に入りの家を守るためにも、ぜひ読んでみてくださいね。
【豆知識】スレート屋根には大きく2種類ある
じつは、一言で『スレート屋根』といっても、その種類は大きく2種類に分けられます。
- 天然スレート:天然素材である粘板岩を使用した屋根材。
- 化粧スレート:人口素材であるセメントを使用した屋根材
ただ、日本の家屋で『スレート屋根』という場合、天然スレートはほぼ無視してオーケーです。
なぜなら、天然スレートは希少性の高い天然素材を使ううえに高い加工技術を必要とすることから、日本の住宅で使われることはかなり少ないタイプとなります(日本では東京駅の屋根などに使用されています)。
家を建てる時に『スレート屋根の一般的な特徴(安い・地震に強い・施工しやすい)』という特徴を求めて選択した場合、ほぼ間違いなく化粧スレートとなります。
ですから、現在日本で普及しているスレート屋根のほとんどが化粧スレート。そして雨漏りリスクが高いのも化粧スレートなんです。
というわけで、この記事で今後『スレート屋根』と記載するところは『化粧スレート』だと思ってくださいね。
スレート屋根が雨漏りに弱い理由
では、本題に入りましょう。なぜ、スレート屋根は『雨漏りリスクが高めの屋根』と言えるのか?じつは、この本題に入っていく前に、スレート屋根の特徴について知ってもらう必要があります。
スレート屋根は、最初にも少し書いたように、主成分はセメントで、一般的な暑さは約5mmほど。まず、この特徴を踏まえたうえで重要になるポイントが
- 耐久性
- 防水性
です。じつは、スレート屋根はこの2つが他に比べて弱いんですよ。
スレート屋根の耐久性
じつは、瓦の一般的な厚さが10~20㎜。ですから、スレート屋根は瓦と比べて『かなり薄い』屋根材といえます。だからこそ、非常に軽量で、結果として耐震性にも強くなるのですが・・・。
残念ながら、耐久性自体は『かなり低め』と言えます。スレート材の耐久性は日本の代表的な3つの屋根材(スレート、瓦、ガルバリウム鋼板)の中でも『一番低い』と言えるでしょう。
じつは、薄さで言えば『ガルバリウム鋼板』の方が0.35㎜~0.75㎜と圧倒的に薄いんですが、こちらは金属製です。スレートはセメントなので、ガルバリウム鋼板と比べて割れやすい素材になります。
スレート屋根の防水性
じつは、スレート屋根の主成分であるセメントには防水性がありません。そこで、塗装によって防水性を持たせている形となります(これが『化粧』スレートと呼ばれる所以です)。
そのため、塗装が剥げてしまうと、一気に雨漏りリスクが上がります。もともとの素材には、防水性がありませんからね。
- スレート:10〜15年
- 瓦:塗装はそもそも不要
- ガルバリウム鋼板:10〜15年
この表だけを見ると、ガルバリウム鋼板とスレートは同じくらいの防水性に見えますよね。ところが、スレートはガルバリウム鋼板よりもさらに劣ります。
なぜなら、セメントは『吸水しやすい』素材だから・・・。そのため、塗装が剥がれてくると、ガルバリウム鋼板よりも圧倒的に傷みやいという欠点があるんです。
スレート屋根における3つの雨漏り注意ポイント
ここまでで、スレート屋根が雨漏りに弱いとされる理由はご理解いただけたかと思います。
次は、スレート屋根で特に注意したい『雨漏りポイント』についてご説明しますね。
基本的な雨漏りの原因はどの屋根でも基本は同じですが、ここではスレート屋根特有の注意ポイントを説明していきます。スレート屋根の場合、特に注意したいポイントは3つ。
- 塗装はがれによる劣化、破損
- ひび割れ
- 釘穴
ポイント1.塗装剥がれによる劣化、破損
塗装が剥がれた剥き出しのスレート屋根には防水性はほぼありません。それどころか、元となるセメントはむしろ吸水性のある素材です。ですから、塗装が剥がれるとどんどん水分を吸収してしまいます。
水分が吸収→蒸発→吸収・・・という流れを繰り返すことにより、一気にスレートが脆くなり、破損に繋がりやすくなります。この破損から雨水が浸入してきてしまうということですね。
雪が降る地域にお住いの方は特に注意!
なぜなら、雪が屋根に積もるような地域では、上記に合わせて『凍害』が発生しやすいからです。
凍害というのは屋根に積もった雪の水分が吸収され、凍って溶けてを繰り返すことで破損が起きてしまう現象のこと。
通常の吸水→蒸発 よりもはるかに破損スピードが上がります。
ポイント2.スレート材のひび割れ
スレート材は薄くて軽いといったメリットがありますが、それはつまり逆に『割れやすい』というデメリットもあるということです。
台風などの強風時における飛来物はもちろん、極端な話『人が踏んでも割れる』ことがあります。スレート屋根とは、それだけ脆いということですね。
じつは、メンテナンス時に業者さんが屋根に登って作業している時などに、気づかずひびが入っていることも珍しくないんです(もちろん業者さんは細心の注意を払っています)。
とにもかくにも『ひび割れしやすい』という特徴を持つスレート屋根。こういったひび割れによる雨漏りの発生には、他屋根に比べてもしっかりと注意する必要があります。
ポイント3.釘穴からの雨漏り
スレート材は、一枚一枚しるしをした後に『釘を打ちつけて固定』します。
この打ちつけ作業時に若干ずれてしまうことを防ぐために『葺き足調整(金槌でトントン叩き、ズレを調整してキレイに揃えるやり方)』を行うのですが、これが原因で雨漏りに繋がることがあります。
なぜなら、この作業は『釘を打ち付けた後』に行うため、スレートと一緒に釘までほんのわずかにズレてしまう、という欠点があるんですよ。結果、釘の根元にほんの僅かですが隙間ができてしまいます。
この釘はルーフィング(防水シート)、野地板(屋根の下地)までしっかり止めているものなので、この隙間に雨が浸入してしまえば、一気に室内にまで雨漏りが侵入する事態になりかねないということです。
スレート屋根における雨漏りリスク対処法
スレート屋根は確かに雨漏りに弱い種類の屋根ではありますが、その原因の大部分は『放置』です。破損や塗装剥がれといった異常を放置したことで雨漏りに繋がるケースが圧倒的に多くなります。
ですから、スレート屋根の雨漏りリスクに対処するには3つのメンテナンスポイントがあります。
- 色褪せや色むら、塗装剥がれがないか?
- ひび割れや、スレート材の浮きがないか?
- 釘が浮いたり錆びたりしていないか?
メンテナンス1.塗装チェック!
先ほどお話したように、スレート屋根は素材そのものに防水性能はなく、むしろ吸水性能のある素材。塗装が剥がれることはもはや大問題です。
ですから『見栄え』だけの問題ではなく、家屋にとっての『死活問題』だと思ってください。
定期的に屋根をチェックし、塗装が剥がれていないかを確認するようにしましょう。
ちなみに、最初に少し書いたように、スレート屋根の塗装の耐用年数は10年〜15年。これを過ぎていると、基本的に『防水性能は著しく落ちている』と思った方が良いでしょう。これぐらい期間が経っている場合は、再塗装を検討しても良いでしょうね。
メンテナンス2.破損チェック!
そして、次にチェックしたいのが『スレート屋根の破損』ですね。
ヒビが入っていたり、割れていたり・・・といった『分かりやすい破損』ももちろんですが、もう1つ注意してチェックしてほしい部分があります。
それは『スレート材が(他の部分と比べて)浮いていないか』ということ。
スレート材はその特性上、歪みが発生することがあります。吸水→蒸発の繰り返しで歪みが発生していることが原因になってきますが、この歪みは、言い換えれば『スレート材が目に見える破損を起こす前の段階』。
ですから、このような『スレート材の浮き』が確認できた場合は、破損と同様に扱う方が安全です。
メンテナンス3.釘チェック!
そして、最後は『釘』のチェックですね。
といっても『釘が僅かにズレている』などを判断することはそうそう出来ませんので、ご自身でおもにチェックしてほしいのは『釘のサビ』です。
スレート材の固定に使っている釘は、ルーフィング(防水シート)や野地板(屋根の下地)を通っているパーツです。このパーツが破損してしまうと、一気に家屋の中にまで雨水が侵入してしまう恐れがあります。
そして、当然ながら『釘にも寿命(耐用年数)』があります。
釘が錆びているということは、すでにかなり『限界に近づいている』ということ。そのまま放置するのは危険です!
スレート屋根なら知っておくべき雨漏りリスク:まとめ
では、最後に今回の記事の要点をまとめていきましょう。
- メリット:価格が安めで、軽くて耐震性も強い
- デメリット:耐久性は低めで、メンテナンス頻度が高い
そんなスレート屋根が、なぜ『雨漏りに弱い』のか?それは・・・
- 耐久性が低い!
- 防水性が低い!
スレート屋根における雨漏りリスクの対処法は・・・
- 色褪せや色むら、塗装剥がれがないか?
- ひび割れや、スレート材の浮きがないか?
- 釘が浮いたり錆びたりしていないか?
を、定期的にチェックすること!
とはいえ、これらの対処方はあくまで『予防』。発生してしまった雨漏りは、この対処法で直すことはできません。
ということで、最後に営業です。
もしもスレート屋根を採用していて『すでに雨漏りしている(もしくは疑わしい)・・・』という方は、ぜひ私たち雨漏りの匠に気兼ねなくご相談ください(笑)!
では、今回の記事はこれで終わりです。
この記事が、あなたの家屋を守るために役立つことを願ってます!
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