- 冬に起きやすい”雪での雨漏り”発生原因!
- 雪による雨漏りが起きた後の対処法!
あなたは『雨漏りの原因といえば?』と聞かれた時、何を想像しますか?
こう聞かれると、おそらくほとんどの方が『雨』を思い浮かべるかと思います(まぁ、雨漏りですからね(笑))。
ですから、雨漏りは
- 梅雨時期
- 台風の多い秋など
に起きやすいと思われがち。ですが、じつは『雨の少ない冬場』でも雨漏りにお悩みの方は少なくありません。
もちろん冬といっても雨は降りますが…じつは『冬特有の原因』によって雨漏りは起きるケースが多いんです。それはズバリ、雪!
しかも厄介なことに、大雪だけでなく『少量の、わずかに降り積もる雪』ですら、雪ならではの方法で雨漏りを発生させてくるから困り者です…。
というわけでこの記事では『冬特有の『雪による雨漏り』についてまとめました。
雪による雨漏りが起きる3つの原因
冬は雨が少ないですが、その代わりに降るものといえば『雪』。この雪の影響によって『冬特有の雨漏り』が発生してしまいます。
…と聞くと、きっと「それって、雪がすっごい積もるような地域の話でしょ?」と思いますよね。
じつは、そんなことないんです。雪の多さに関わらず発生する原因もあるのが困ったところ。ちらほら降るような雪ですら、雨漏りの原因を引き起こしかねないんですよ。
- 雪の凍害による屋根の損傷
- 積雪による屋根の損傷
- すがもり
雪特有の雨漏り原因1.雪の凍害による屋根の損傷
屋根に雪の水分がしみ込み、それが凍ったり溶けたりを繰り返すことによって、屋根材が割れてしまう。
こういった『凍害』と呼ばれる被害が冬場は起こります。
水は凍結すると体積が大きくなる性質があります。わずか一滴の水でも凍ってしまうと一回りほど大きくなるんです。
屋根にしみ込んだ雪の水分は凍ると膨張し、内部から圧迫。また溶けて凍って…を繰り返すうちにどんどん屋根のダメージは蓄積され、破損につながります。
その結果、その破損個所から雨漏りが起きてしまうんです。
これは雪の量にはそれほど左右されないので、わずかレベルの雪でも油断できないんですよ(そもそも『雪が降る』という寒さが、この原因に直結しますからね)。
屋根に水分が染み込むイメージがつかない…
と思うかもしれませんが、残念ながらこれは事実。
材質にもよりますが、屋根材のなかには多孔質といって、目には見えないほどの小さな穴が開いているものがあり、その場合は吸水性が高くなっています。
ただ、本当に小さな穴なので、雨であれば流れますから、基本的にしみ込むことはあまりありません。
ですが雪は屋根に降り積もった場合は話は別。雪の場合、わずかでも屋根に『積もる』という現象が発生しますよね。そうなると吸水性の高い屋根材に少しづつ雪の水分が染み込んでしまうのです。
ちなみに屋根材の吸水率は
- ガルバリウムなどの金属屋根…0%
- 豪雪地域以外の一般的な瓦…12~15%以下
- スレート材…13.7%
となっています。
豪雪地域では対策のために金属屋根が多いですが、そうではない地域ですと最近スレート材の屋根が増えています。
ということは…豪雪地域でないエリアの方が、雪による雨漏りの危険性がある、ともいえますね。
雪特有の雨漏り原因2.積雪による屋根の損傷
雪はふわふわ軽い…みたいなイメージがあるかもしれませんが、実際は結構重いもの(雪国にお住いの方はよく分かると思いますが)。
この雪が屋根に積もって、重みによって破損が発生。そこから雨漏りが起きてしまうことがあります。
そもそも雪は水であり、水は凝固すると重たくなる性質があるんですね。
仮に屋根1㎡あたりに雪が1㎝積もった時の重さは
- ふわふわな新雪…約3㎏
- 積雪の重みで固まった雪…約5㎏
- 溶けて再び凍ったザラメ雪…約7㎏
このように、新雪とザラメ雪では2倍以上、重さが違います。
雪国などで30㎝も積もれば、ザラメ雪なら210㎏の重さ。ここまでくると、屋根が破損してもおかしくありませんよね。
こういった理由で屋根材に破損が発生し、そこから雨漏りが起きてしまうのです。
ちなみに雪の少ない地域での一般的な屋根の積雪荷重の目安は30㎝。あなたのお住いの地域で、これぐらい雪が降ることがあれば注意してくださいね。
雪特有の雨漏り原因3.すがもり
聞きなれない言葉かもしれませんが、“すが”(すがま)は東北地方の方言で氷という意味。“すが”によって“漏れる“という言葉になり、つまり、つららによって雨漏りが起きるということですね。
屋根には雨どいなど、水を外に逃がすための雨仕舞という施工が必ずされています。
しかし、屋根の軒先にできたつららは堤防のようになり、本来流れていくはずだった水をせき止めてしまいます。
そして行き場を失った水が屋根材の隙間から侵入し、雨漏りが起きてしまう=すがもりというわけですね。
これは比較的特殊なケースで、極端に寒く、雪の多い地域以外ではあまり目にすることはないかもしれませんね。
冬の雨漏りで気をつけるべき被害
雪が原因で発生する雨漏りは屋根損傷による雨漏りが多く、その被害も『屋根(天井)からの雨漏り』が多くなります。
- 屋根裏の腐食による強度の低下
- 屋根裏を通る配線関連への漏電被害
- 屋根裏の見えない部分に対するカビ被害
- 屋根裏の木材にシロアリが発生
などですね。この中でも、冬の雨漏りは『カビの被害』を特に注意する必要!
冬場は暖房で室内も温められて、人間にとって快適な温度に保たれています。
じつは、人にとって快適な温度というのは、カビにとっても非常に過ごしやすい温度。ようは、カビが繁殖しやすい状態になるわけです。
とくに『屋根に雪がうっすらでも積もっている』という状態であれば、屋根裏の湿度もかなりのもの。カビにとっての天国となっている恐れが…!
雪による雨漏りへの対処法
雨漏りの原因によっては、ご自身で対処することが可能なケースもあります(隙間を埋めるコーキングの経年劣化、などですね)。
ですが、もしも…この記事で挙げたような雪特有の被害
- 雪の凍害による屋根の損傷
- 積雪による屋根の損傷
- すがもり
が原因の場合、残念ながらご自身で直すのは難しいと思ってください。
なぜなら、これらの『雪が原因となる雨漏り』の場合、屋根自体に大きな損傷が発生してしまったケースが多いんです。
小さな隙間を埋めるようなコーキング剤などであれば、ホームセンターで購入できるので、うまくやればご自身で対処できますが…壊れた屋根を自分で直すというのは、かなり難易度が高い(というか、普通は無理)です。
しかも、原因が屋根に集中することから、作業自体にも危険性を伴うことが多い…総合的に見て、雪が原因となる雨漏りはご自身での対処が難しい部類に入るということです。
雪特有の雨漏りは、素直に修理業者に連絡が吉
ということで、雪で雨漏りが発生してしまったのなら、安全かつ確実に直すという選択肢という意味で『雨漏り修理業者に連絡』がベスト。
先ほども言いましたが、冬の雨漏りはカビの健康被害をはじめ、様々な被害をもたらします。
こういった被害は修理が遅れれば遅れるほど、危険度が増しますが…逆に言えば早めに修理することができれば、被害は最小限に抑えらます。
また、修理費に関しても、被害の浅いうちに対処できればその分、安く済むはず。
ですので、あなたが冬の雨漏りでお困りなら、すぐに雨漏り修理業者に連絡をするようにしてください。
ちなみに…雪特有の被害で雨漏りが発生した場合、その修理は保険の対象となる可能性がありますよ!
雪の被害による雨漏りは火災保険が使えるかも!
もしあなたが加入している火災保険の内容に雪災が含まれていれば、火災保険が使える可能性があります。
基本的に冬の雨漏りは屋根の積雪が原因であることが多く、これに関しては雪下ろしを適切に行ってれば発生しない被害とみなされ、保険が使えることはほぼありませんでした。
しかし、最近の異常気象の影響もあり、あまり雪の降らない地域での雪害も増え、例外的なトラブルも多発しているため、保険会社も柔軟な対応をとるケースも増えてきています。
火災保険に加入しているのならば、使えればラッキーぐらいの気持ちで、保険会社に相談してみるのもありかもしれませんよ。
(私たちのところでも、お客様が火災保険に入っている場合、申請代行を行なって保険適用ケースにできるよう尽力してます!)
冬特有の雨漏りにご用心:まとめ
では最後に、ここまでの内容をおさらいしていきますね。
- 雪特有の雨漏り原因1:雪の凍害による屋根の損傷
- 雪特有の雨漏り原因2:積雪による屋根の損傷
- 雪特有の雨漏り原因3:すがもり
- 冬の雨漏りは、特にカビ繁殖の被害に注意!
- 雪が原因の雨漏りは対処が難しく、素直に業者へ連絡が吉!
- 雪害による雨漏りは火災保険が使えるかも
降水量の少ない冬場は雨漏りが起こらない…なんてことはありません(汗)。むしろ、そんな冬だからこそ、雨漏りしやすい原因があるのです(しかも厄介)。
この記事を書いているのは12月の半ば…これから雪が降るケースは増えてくるだろう、というタイミング。
(夏にこの記事を見ている人は少ないと思いますが(笑))雪が降るような季節には、雪による雨漏りに注意してくださいね!
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