- 軒天といわれても、どこのことかパッと思いつかない…
なんてことはありませんか?もしそうなら、この記事は一度読んでおいた方がいいですよ!
軒天(のきてん)屋根の一部分のことなんですが、目立ちにくく、あまり重要視もされていません。そもそも『軒天』という言葉を認知している人が少ないようにも感じます。
そのため、この部分になにかトラブルが起きていても、あまり気にしない、もしくは気づかない人も多いのですが…じつは軒天の劣化は『雨漏りのサイン』と言われるぐらい危険なこと!
にも関わらず、あまり軒天を認知していない、気にしてない方が多いのが現実…。というわけでこの記事ではあまり知られていない『軒天』についてまとめてみました。
ぜひこの記事の情報を参考に、あなたの家は大丈夫か確認してみてください。
軒天の役割について
まずは軒天についてご説明します(すでにご存じの方はスキップしてくださいね)。
軒天とは『軒』の『天井』を指します。(じつは軒天井、軒裏、軒天ボードなど、呼び名は様々あるんです)。
軒とは『屋根の一部で、外壁より飛び出している箇所』のこと。
その主な役割は大きく4つ。雨漏りを防ぐための大切な役割も兼ねていますよ。
- 屋根の下地材の保護
- 屋根裏の換気
- 景観の保護
- 延焼防止
軒天の役割1. 屋根の下地材の保護
軒天は屋根の下地材をカバーするための盾のようなもの。
もし軒天がなければ、強風によって雨が吹き込み、屋根そのものの劣化に繋がります。
それを防いでくれるのが軒天なんですね。
軒天の役割2. 屋根裏の換気
表面に多数の穴が開いた有孔ボードや換気口が設置された軒天は、屋根裏の換気に優れています。
もともと屋根裏には湿気が溜まりやすいんですが、軒天がその湿気を逃がすことによって、結露やカビを抑えてくれているんです。
軒天の役割3.景観の保護
軒天がなければ、下地材が丸見えになり、見た目が損なわれてしまいます。
家は下から見上げることが多いため、もし軒天がなければ結構目立ってしまうんです。
やっぱり大切な家屋ですから、見た目も大事ですよね!
軒天の役割4. 延焼防止
もし家に火災が起きた場合、窓から出火すると短時間で一気に屋根裏にまで燃え広がります。
しかし、軒天があることによって屋根裏に燃え広がるのを防いでくれるという働きもあるんです。
軒天の劣化が雨漏りにつながる理由
軒天が劣化することで雨漏りにつながる理由。それは、軒天の役割をご理解いただければ何となく分かりますよね。
- 強風による雨の吹き込みの可能性がある
強風による雨の吹き込み
軒天は屋根の下地材を保護している盾のようなものだと説明しました。雨が吹き込んできても軒天がカバーしているので、雨が入り込むことはありません。
しかし、軒天が劣化していると、その破損箇所などから雨水が侵入してしまい、軒天としての役割を果たせなくなってしまいます。こうなると、雨漏りを防ぐ効果は期待できません。
軒天が劣化しているとは、例えるなら『穴が空いた傘』のような状態。穴が開いた傘では体のどこかは必ず濡れてしまいますよね?
それと同じように、劣化した軒天では、破損箇所から少しづつ雨が入り込んできてしまう状態になっています。
屋根の裏側でも雨は当たる!
軒天があるのは、屋根の裏側。一見すると、あまり『雨風が当たる』という印象はありません。
そして、確かに屋根の裏側はそうそう雨が直接当たるような箇所ではないんです。ですが…強風を伴う雨の場合は話が別。屋根の裏側も思いっきり雨に晒されます。
強い風に乗って打ち付けられる雨は、普段ではありえないような角度から雨が当たります。また、壁や屋根に当たった雨が跳ね返ることでも、思った以上に濡れてしまうもの。
ですから、先ほどの説明で『軒天がなければ”強風時に”雨が吹き込む』とお話したわけです。
特に最近は台風の勢力が強く、多くの家屋が頻繁に強風被害にさらされてる状態となっています。
もし軒天が劣化していれば『いつの間にか雨漏りに発展していた』なんてことは、どこのご家庭でも起こり得るということです。
注意すべき軒天の劣化症状
では、実際に軒天をチェックするとき、どんな症状がおきていないかを確認すればよいのか?
ここでは注意すべき症状を4つに分けてご説明していきます。
- 塗装の剥がれ
- シミ
- 部材の剥がれ
- 破損による穴あき、崩落
注意すべき症状1.塗装の剥がれ
家によっても違いはありますが、保護の目的で軒天に塗装がされています。
じつは塗装することで軒天自体が守られているのですが、その効果は永久ではなく、年月とともに劣化してしまいます。
この塗装剥がれを放っておくと、見た目がみすぼらしくなるのもありますが、恐ろしいのは水分が溜まりやすくなること。
塗装が剥がれた軒天は雨水や湿気が溜まりやすくなってしまうので、さらなる被害につながる危険があるんですよ。
ちなみに塗装の寿命目安は
- アクリル系塗料→4~7年
- ウレタン系塗料→6~10年
- シリコン系塗料→8~10年
- フッ素系塗料→15~20年
なので、早ければ4、5年。長くても20年経過しているような家屋であれば、すでに塗装の寿命をむかえ、劣化している状態の可能性が高くなります。
注意すべき症状2.軒天のシミ
軒天自体にのシミができている場合、屋根から雨漏りしている可能性が高くなります。これは、軒天からの雨漏りというよりも『屋根からの雨漏りで、軒天にシミができている』可能性が高いということです。
屋根から侵入した雨水は、基本的に下へ下へ流れ落ちます。そして、染み込んで流れた水が軒天に染み出してきた…という状態ですね。
シミになっているということは、流れ込んできた雨水が少しずつ溜まり、内側を劣化させているという状態。特にうっすらではなく、濃いシミであればそれだけ水が溜まっているということになります。
この場合、すでに『ほかの箇所にも雨漏り被害が出ている』可能性があるので、特に注意が必要になります。
症状3.軒天の部材が剥がれている
部材の一部が剥がれてしまったりしていると、当然ながら雨水が浸入しやすくなります。
また、特に木の部材は要注意。木材の場合、他の材質に比べて雨水や湿気によって腐朽(腐ること)しやすいんですよ。
だからその分劣化速度も速く、どんどん被害が拡大してしまうので、そのままにするのは非常に危険なんですね。
症状4.破損による穴あき、崩落
さすがにここまでの状態であれば、気づかない人も少ないかもしれませんが…当然、もっとも厳しい症状です。
このような状態であれば雨水はもちろんですが、もうひとつ怖いのは害獣が住み着いてしまうこと。
害獣とはネズミやハクビシンなど。こういった害獣が、発生している穴から入り込み、住み着いてしまうことがあります。
これらは身体に様々な菌を宿しており、それによって家族に健康被害が起きる可能性も高いんです。
もしこのような状態なら、もはや一刻の猶予もありません。
軒天の劣化は自分で修理できる?
結論を言えば、オススメしません。
軒天の修理は『塗装』、『部材の重ね張り』、『部材の張替え』となりますが、どれも専門的で技術のいる作業のため、難易度が高い修理です。
また、軒天=屋根の一部なので、どうしても高所作業になり、安全が十分に確保できないことも。
ケガだけならまだいいですが、それ以上のことも十分にありえる話なので、自分で行うのはやめた方がいいでしょう。
軒天の”シミ”の場合は、雨漏り修理業者へ連絡
基本的に、雨漏り修理業者は軒天の劣化を直すための業者ではありません。
が、軒天の『シミ』については、ちょっと話が違います。なぜなら、この場合は『すでに雨漏りにつながっている可能性が高い現象』だからです。
先ほど少しお話したように、軒天にシミができている場合、すでに屋根から雨漏りが起きている可能性が高い状態です。こうなると、屋根(家屋)にどのようなダメージが出ているかを確認する必要があります。
餅は餅屋というように、雨漏り系は雨漏り修理業者でなくては分かりません。
これはつまり、リフォーム業者や屋根の修理業者では、雨漏りが起きているかどうかの判断があいまいになる危険があるということです。
軒天を修理・取り返して表向きは『軒天の劣化は直った』状態になるかもしれませんが…すでにその内側が雨漏りダメージでカビだらけ、みたいなことになったらゾッとしますよね。
ですから、軒天のシミが確認できた場合は、雨漏り修理業者への連絡を検討してみてください。
軒天の劣化は雨漏りのサイン!:まとめ
ではここまでの内容をおさらいしていきましょう。
- 強風による雨の吹き込みが雨漏りにつながってしまう!
- 塗装の剥がれ
- シミ
- 部材の剥がれ
- 破損による穴あき、崩落
軒天にシミができている場合、すでに雨漏りしている可能性が大きくなる!この場合は、雨漏り修理業者へ連絡を検討しよう!
屋根の一部なのに、あまり認知されておらず、気にされることの少ない軒天。
しかし軒天は屋根の下地を保護する重要な役割で、家屋にとってなくてはならない存在です。
これを機に、ぜひあなたもご自宅の軒天を気にかけるようにしてみるといいかも知れませんね!
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