- たまに、自宅のエアコンから水漏れすることがある…
今やどこのご家庭にも一台はあるだろう…といっても過言ではないエアコン。
暑い夏も、寒い冬も、室内を快適な温度に保ってくれる存在。もはやエアコンなしの生活は考えられませんよね。
でも、そんな便利なエアコンで発生しがち&発生したらかなり困るのが『エアコンからの水漏れ(水垂れ)』。周りの家具が濡れて、大惨事に…(私も、エアコン下に格納していた服が全滅したことがあります)。
エアコンからの水漏れ原因は
- 故障かな?
- それとも結露か何かで水漏れ?
あたりをイメージする方が多いかと思いですよね。ですが、じつはエアコンからの『雨漏り』という可能性も考えられるんです。
ということで、この記事では『雨漏りの専門家としての切り口』から、エアコンの故障or雨漏りの見分け方をまとめてみました。
エアコンの故障(水漏れ)と雨漏りの判別方法

エアコンから水が垂れてきた場合
- エアコンの故障による水漏れなのか?
- それともエアコンからの雨漏りなのか?
ここをなるべく早く判断する必要があります。それによって、最終的な対応が変わってきますからね。
その判断方法は結構簡単。ご自身でチェックすることができます。
エアコン故障による水漏れ
エアコンの問題による水漏れの場合、こちらのケースがほとんど。
- 晴れでも雨でも天気に関係なく水が垂れる
- エアコンを使用時にだけ水が垂れる
- このような状態ならば『エアコンの問題による水漏れ』の可能性が高いでしょう。
水漏れは、エアコンを使うことによって発生し、本来外に排出されるはずだった水分が逆流して起きる現象。ですから、使用していない状態では基本的に発生しません。
さらに天気が晴れでも水が垂れるのなら、原因は雨ではない=雨漏りではないと考えられますよね。
そのため、天気に関係なく、エアコンを使用時だけ水が垂れるのならば、故障による水漏れの可能性が高いと考えることができます。
エアコンからの『雨漏り』
それに対して、こんなケースはエアコンから『雨漏り』している可能性が高い状態です。
- 雨の日に水が垂れる
- エアコン使用に関わらず水が垂れる
- エアコン付近の壁が濡れている
雨漏りは家に雨が入り込む現象なので、雨が降らなければ雨漏りは基本的に起きません。また、雨漏りの場合はエアコンを使用している、していないに関わらず水が垂れてきます。
さらに、雨漏りの場合はエアコン本体からではなく、『エアコン付近の壁』から水が垂れてくるケースが多いんです(エアコンからの水漏れの場合、ほとんどが『エアコン本体から水が垂れている』状態になります)。
『雨の日に限ってエアコン使用に関わらず、付近の壁から水が垂れる』のであれば、エアコンから雨漏りが起きていると判断することができます。
エアコンから”雨漏り”って、なんかしっくりこない…

『雨漏り』と言われると、天井からの雨漏りをイメージすることが多いと思いますが…じつは屋根(天井)とは別のところで雨漏りするケースはたくさんあります。
(むしろ、雨漏りでもっとも多いケースは、天井よりも窓などから発生する雨漏りです)。
雨漏りは家の様々な箇所で発生する可能性があり『エアコンも例外ではない』ということ。
先ほど挙げたような『天候が悪い日にエアコンから水が垂れている』状態は「結露か何かだろう」と思い込んでしまい、そのまま放置されてしまうケースが多いんです(天候が悪い日は、気温が低い日も多いですからね)。
しかも、天気が回復する(気温が上がる)と、水垂れが発生しなくなるので「やっぱり結露か」という結論を出されることも。
この場合、雨漏りを『放置』している状態なので、家屋へのダメージがどんどん積み重なっていることに…。
『天井以外でも、家屋の様々なところで雨漏りは発生する』ということを認識しておくと、思わぬ『無意識の雨漏り放置』を防ぐことができますよ。



エアコンから雨漏りが起きる原因

では、なぜエアコンから雨漏りが発生してしまうのか?
エアコンの雨漏りは、その多くのケースが『スリーブ穴(配管を通している穴)』を雨水の侵入経路としています。
エアコンにこのスリーブ穴を外壁に通すため、必ずその間に隙間ができます。この隙間から雨水が侵入してしまうわけですが…。
当然そんな危険箇所なので、通常はちゃんと防水施工されています。しっかりと対策された状態ならば雨漏りは起きません。
にも関わらずエアコンから雨漏りが起きてしまう場合、その原因は大きく分けてふたつ。
- 施工不良
- シーリングの経年劣
原因1.施工不良
「いきなりこの理由!?」
と思われたかも知れませんが、じつはエアコンから雨漏りするケースでもっとも多い原因が『施工不良』なんです…。
「施工不良なんて滅多になさそうだけど…」
と思うかもしれません。現に、屋根や壁などの箇所であれば、施工不良によって雨漏りする割合はごくわずか。ところが、エアコンの雨漏りに関しては、施工不良が一番多い原因なんです。
なぜそんなことが起きるのか?
その原因は、じつはそれを施工する業者にあります。というのも…こういった『スリーブ穴』を開ける(ようは、エアコンを取り付ける人)は、基本的に建築業者ではないケースが多いんです。
スリーブ穴を開けるのは『建築業者』ではない
こういった作業を行うのは、エアコンの取り付け業者。
ここになんの問題があるかというと、建築業者とエアコンの取り付け業者では、そもそも得意なフィールドが別ということ。
- 建築業者:家の構造など、なにからなにまで熟知して建築している。
- エアコンの取り付け業者:エアコン取り付けに長けているが、住宅のことは熟知していない(ケースが多い)。
どちらも家に関わるような仕事ですが、得意なことは全く違います。
ちょっと大げさですが…たとえ同じ『スペシャリスト』であったとしても、盲腸の手術をする執刀医が外科医と眼科医だとしたら、どうでしょう…どちらがベストかは明白ですよね。
同様に『家の構造』を熟知していなければ、開けてはいけない所に穴を開けてしまったり、開けた穴を塞ぐ技術が不足していたり、ということが起こり得ます。
しかも、エアコンのスリープ穴は、メーカーや種類によって幅や穴の位置が変わってくるので建築時にあらかじめ開けておくのは難しいのが現実(新築であっても、エアコンは家が完成してから後付けのケースが多い)。
そのため、エアコンの取り付け作業員が、スリーブ穴を開けるのが基本になります。
先程もご説明したように、エアコン取付業者はその家の構造を熟知しているわけではありません。ですので、場合によっては闇雲に穴を開けられてしまっていた…なんてことに。
もちろん、ちゃんとした業者であれば、滅多に『やってはいけない穴あけ』なんてことはしませんよ!
が…やはり特徴として、家屋構造の専門家が対処する箇所に比べエアコンは『施工不良の可能性が高い』箇所というのは現実であり、実際に数字になって現れてしまっているんです。
施工不良が原因→すぐ雨漏りが発覚、とは限らない
施工自体に問題があるなら、すぐにでも、いつでも雨漏りしてしまいそうなものですよね。
ところが、そうとも限らないから困るんです…。
雨漏りは、たとえ原因が施工不良であったとしても『普通の雨では発生せず、台風などの強風を伴うような時しか露見しない』というケースがたくさんあるんですよね。

ようは
- 普通の雨で雨漏りするほどの問題ではない
- だが、強風&雨、というような状態で雨漏りしてしまう
という状態。これだと、施工不良 = すぐに雨漏り発生(に気づく)、とも限らないんです。
原因2.シーリングの経年劣化
もしもエアコンを取り付けて『だいぶ時間が経っている(10年前後)』状態で雨漏りが起きたのであれば、施工不良のケースは少なくなります。
この場合の原因としては、『経年劣化』が疑わしいでしょう。
スリーブ穴と配管の間にできる隙間は、シーリング(柔らかいゴム状の液体)という素材で埋められています。
シーリングの役割は『防水上、弱い箇所への水の侵入を防ぐこと』ですが…残念ながら、その耐久性には限界があります。
年月が経てば経つほど、シーリングには日光や雨風によるダメージが蓄積していきます。
このような経年劣化が起きることによって、シーリングにヒビが入ってしまい、そこから雨漏りが起きてしまうんですね。
シーリングの寿命はおよそ10年ほど。築年数がそれぐらい経っているようであれば、エアコンから雨漏りが起きても不思議なことではありません。
エアコンからの雨漏りに対する対策

では次に、エアコンからの雨漏りが疑わしい場合に行なっていく対策を順にご説明します。
- ステップ1.まずは室内への被害対処
- ステップ2.エアコンの水垂れ原因をチェック
- ステップ3.ご自身の応急処置ができないかチェック
- ステップ4.エアコン取り付け業者or雨漏り修理業者へ連
ステップ1.まずは室内への被害対処
まずは真っ先にこれです。
室内に垂れている水をなんとかしなければ、家具や家電の故障・家屋へのダメージに繋がりかねません。
- エアコン周辺の家具や家電にビニールシートをかぶせる
- 水漏れしている個所に雑巾や新聞紙などで水を防ぐ
といった形で、とにかく家具その他が濡れない施策をしましょう。
特に、水垂れ原因が雨漏りでなく『エアコンの不調』にあった場合…落ち着いたと思った矢先に、たまった水がいきなりザバッと溢れ出ることがありますからね…(私は、油断した結果、これで洋服ダンスがやられたことがあります)。
ステップ2.エアコンの水垂れ原因をチェック
室内の応急処置が終わったら、水垂れの原意が
- エアコンの不調
- エアコンからの雨漏り
のどちらなのか、をチェックしましょう。見分ける方法は…もう、ご存知ですよね?
ステップ3.ご自身の応急処置ができないかをチェック
もしもスリーブ穴を塞いでいるシーリング材に、あきらかなひび割れや隙間があった場合、応急処置が行えるかもしれません。
その隙間やひび割れを塞ぐことで、雨漏りを止めることができるかも知れませんからね。
シーリング材などはホームセンターに売っていますので、これで対処してもいいのですが…応急処置レベルであれば、シーリング材を使わずにテープなどで一時的に塞ぐだけでも効果が見込めます。
もちろん、あくまで一時対処ですが…そのまま雨水が侵入し続けると、家屋へのダメージにもつながります。応急処置が行えそうな場合は、まずは試してみましょう!
ただし、1階ならともかく、2階〜のエアコン雨漏りは、そもそも『(外側の)スリーブ穴をチェックすること自体が危険』だったりします。
この時は、無理しない方がいいですよ。怪我でもしたら大変ですから…。
ステップ4.エアコン取り付け業者or雨漏り修理業者へ連絡
エアコンを取り付けて間もないのに雨漏りが起きたのなら、まずはエアコン取付業者に連絡してみましょう。
設置をした業者だからこそ、その時の状況も分かっているはずですし、話もスムーズに進むはず。なにより、エアコン取り付け後の『保証』がある場合も多いので、無償で修理対応できる場合も多いんですね。
ただし、注意してほしいのが、家電量販店で取り付けをしてもらった場合。この場合は保証が付いていないことが多いので、保障内容をよく確認してみてくださいね。
残念ながら、すでに保証期間がすぎている場合は、雨漏り修理の業者に連絡をいれましょう(経年劣化の場合、確実に保証期間がすぎてます)。
応急処置で被害が止まったとしても、業者には必ず連絡を!
と思うかも知れませんが、応急処置で止まったにせよ、止まらなかったにせよ、最終的に業者へ連絡することをオススメします。
あくまで『応急処置』ですので、やはり再発する可能性が非常に高いです。
また、表に見える被害は止まったとしても、実は裏側で水漏れが続いており、壁への侵入・染み込みによる被害や、エアコン自体への破損につながってしまう恐れも…。
そもそも、何かしらのトラブルで水が漏れ出したことは事実ですから。しっかりと専門家に見てもらった方がいいですよ。『生兵法は大怪我のもと』です!

エアコンの水漏れは故障ではなく雨漏りの危険あり:まとめ

では、最後にここまでの内容をまとめておきます!
- 雨の日だけ水が垂れる
- エアコン使用に関わらず水が垂れる
- エアコン付近の『壁』が濡れている
- 施工不良(最も多い!)
- シーリングの経年劣化
- まずは室内への被害対処
- エアコンの水垂れ原因をチェック
- ご自身の応急処置ができないかチェック
- エアコン取り付け業者or雨漏り修理業者へ連絡
エアコンからの雨漏りは結露などの水漏れと区別がつきにくいため、知らず知らずのうちに雨漏りを放置してしまうことが少なくありません。

放置してしまうことにより、カビや家屋の腐食などに繋がってしまいますので、注意しましょう!
この記事があなたのこれからの生活に役立ってくれると幸いです。
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