- 切妻屋根が雨漏りに強い理由
- そんな切妻屋根を『雨漏りに弱い屋根』にしてしまう3つの要因
住宅によって屋根の形は千差万別。街を見渡せば様々な屋根が並んでいますね。
その中でも『屋根といえば』と言われると頭に思いうかべやすいのが、いわゆる三角の形をした『切妻屋根』ではないでしょうか(家の絵を書いたりすると、なんとなく三角の屋根を書いてしまいますよね(笑))。
それもそのはず、70年代頃の日本では、切妻屋根の普及率はなんと全体のおよそ8割!
今でこそいろんな屋根の種類が増えたので、全体的な割合は減ってきてはいますが…まだまだ選ばれることが多い屋根の1つ。やはり切妻屋根は日本の代表的な屋根と言えるでしょう。
なぜ、それほど人気のある屋根なのか…その理由は、切妻屋根が『雨漏りに強い屋根』という特徴があるからに他なりません。
ですが…そんな切妻屋根を『雨漏りに弱くしてしまう』3つの要因が存在します。そして…最近、この『3つの要因』を満たしてしまうデザインの切妻屋根が増えているんです(汗)。
そこでこの記事では、
- 切妻屋根が雨漏りに強い理由
- そんな切妻屋根を雨漏りに弱い屋根に変えてしまう要因
- 切妻屋根を採用している家屋で、定期的にチェックしたい要注意ポイント
をまとめてみました。切妻屋根を採用した家屋にお住いの方は、ぜひ1度チェックしてみてくださいね。
なぜ切妻屋根は雨漏りに強いのか
雨漏り専門家の目線で見る『切妻屋根が雨漏りに強い理由』、それは
- 雨漏りに強い構造をしている
- 雨漏り発生時の原因特定がしやすい
という2点が大きなポイントになります。
理由1.雨漏りに対して強い構造をしている
じつは、数ある屋根の中でも、切妻屋根は雨漏りに強い構造をしている屋根といえます。そのポイントは『切妻屋根が、繋ぎ目の少ないシンプル構造』であること。
じつは屋根材同士の繋ぎ目部分は『雨漏りの弱点』ともいえるほど、雨漏り発生の原因となる部分。つまり、繋ぎ目部分が多い複雑な屋根ほど弱点が多く、雨漏りしやすい屋根となるわけです。
それに対して切妻屋根の繋ぎ目は、三角形の頂点である大棟と呼ばれる1ヶ所のみ。
よく採用される屋根の1つ『寄棟屋根』が5箇所の繋ぎ目があることを考えると、圧倒的に弱点が少なく、雨漏りしにくい屋根である、というのもうなずけるのではないでしょうか。
理由2.メンテナンスしやすい
切妻屋根は繋ぎ目の少ないシンプルな構造になるため、『実際に雨漏りしてしまった際にも原因特定がしやすい』というメリットがあります。
雨漏り修理を行う際、もっとも重要であり、もっとも難航する作業が『原因の特定』です。
正しい原因特定ができないと、どれだけ修理をしても雨漏りは止めることができないのですが…雨漏り発生原因は多岐に渡り、一筋縄ではいかないケースも多々あります。
そして、雨漏りの原因特定を難しいものにする要因の1つが『屋根の繋ぎ目』の存在です。屋根の継ぎ目が多ければ多いほど、雨漏り発生の原因箇所として考えられる部分が多くなるため、特定がより困難になってしまうんですよね。
ところが、切妻屋根の場合、屋根の繋ぎ目部分はたったの1ヶ所。繋ぎ目部分が多い屋根に比べて、圧倒的に原因特定がしやすいのです。
もともと雨漏りに強い構造であり、いざ雨漏りしてしまっても原因特定がしやすい。
切妻屋根は、雨漏り専門家から見てもまさに『雨漏りに強い』屋根と言えるでしょう!
切妻屋根を雨漏りに弱くしてしまう3つの要因
ここまでご説明したように、切妻屋根は『雨漏りに強い』屋根です。
ところが…そんな切妻屋根を『雨漏りに弱い』屋根に変えてしまう『3つの例外的要因』が存在することは、あまり知られていません。
昔は、これらの例外要因を持つような切妻屋根はほとんどありませんでした。ですが、最近ではデザイン性や家屋の利便性を追求した結果、これらの『例外的要因』を持ってしまった家屋が増えてきているんですね。
次にあげる3つの要因を持つ場合、たとえ切妻屋根でも『雨漏りに弱い』状態となっているので、注意が必要です。
- 軒が短い、またはない(軒ゼロ住宅)
- 継ぎ目が複数存在している
- ドーマーや天窓が存在している
例外要因1.軒が短い、またはない(軒ゼロ住宅)
屋根についている軒は、家屋を守る傘のような役割を担っています。
軒があることによって家屋は日差しや雨から守られており、軒が長ければ雨風の影響は受けにくいですし、逆に短い場合はモロに雨風や日光の日差しをうけてしまうことになります。
昔ながらの切妻屋根なら、それなりに軒の長さを取っているのが一般的。
ですが…最近の洋風住宅では、外観も考慮して軒を極端に短くしたり、軒がまったくない『軒ゼロ住宅』として作られるケースが増えているんです(汗)。
軒が短い・ない切妻屋根を採用していると、確かに屋根自体は雨漏りに強くても『屋根以外(外壁などから)』の雨漏りリスクが高い状態の家屋となってしまっているんですね。
例外要因2.継ぎ目が複数存在している
切妻屋根は基本的に2枚の板を接合して作られる屋根構造です。そのため接合部分は大棟のみになるとご説明しましたが…じつは、昨今ではデザインなどの関係で『あえて複合的な作りをした切妻屋根』が増えてきています。
こういった切妻屋根の場合、はっきり言って『雨漏りに強い要素ゼロ』です(笑)。
『シンプルで継ぎ目が少ない』ことこそが、切妻屋根が雨漏りに強いと言えるすべての要因。継ぎ目を多くする形で作られている切妻屋根は、当然ながら雨漏りに強いわけがありませんね…。
もちろん、なるべく雨漏りを起こさないように板金を設置したり…といった対策はされています。が、そもそも『雨漏りに強かった要素』をすべて失っているのですから、たとえ切り妻屋根でも『継ぎ目が複数存在するようなタイプ』では、雨漏りに強いとは言えませんね。
例外要素3.ドーマーや天窓がある
ドーマー(屋根部分に作られた小部屋)や天窓は、屋根裏部屋やロフトへの採光目的で作られることが多い要素。こういった要素を屋根に設置することによって、屋根に『本来なかった繋ぎ目部分』が生まれてしまいます。
何度も言いますが、繋ぎ目部分は屋根にとって間違いなく『弱点』。少なければ少ないほうが雨漏りリスクは減少します。
切妻屋根の強みである『継ぎ目が少ない』というメリットが、ドーマーや天窓を設置することで弱まってしまうわけですね。
もちろん、ドーマーや天窓をつけることが悪いことではありません。ですが、これらの要素を入れることで間違いなく『雨漏りへの強さ』は弱くなってしまう、ということはしっかりとご理解したうえで設置するようにしましょう。
切妻屋根を採用した家屋が定期的に行いたいチェック(メンテナンス)!
ここまでで、切妻屋根が雨漏りに強い理由、そしてこの強みを消してしまう『例外要因』についてご理解いただけたかと思います。次は、切妻屋根を採用した家屋で『定期的に行いたいチェック要点』についてご説明します。
そもそもですが、どんな屋根を採用しようと『100%雨漏りが起きない屋根』というものは存在しません。それは、例外要素を1つも含んでいない、純正の切妻屋根でも同じ。
雨漏り発生リスクを最小に抑えるためには、とにかく『定期的なチェック』が必要不可欠です!
…とはいえ、毎回業者にお金を払って定期的にチェックを行うのは、やはりツライものがありますよね(汗)。そこで、まずはご自身で定期的にチェックされることをオススメします。
シンプルな方法ですが、『目視で異常がないかをチェックする』だけでも、十分に効果的ですよ!
- 大棟
- 破風板
- 妻側の外壁
- 軒天
チェックポイント1.大棟
まずチェックしたいのは、やはり『大棟』。どのようなタイプの切妻屋根でも存在する、屋根の継ぎ目ですからね。
言い換えれば、大棟は『切妻屋根に必ず存在する最大の弱点ポイント』です。
ここにヒビや水が染み込んだようなシミがあった場合は超注意です。定期的にチェックすることをオススメするポイントですね。
チェックポイント2.破風板
屋根というのは、そもそも構造的に『上からの雨風』には強いですが『下から吹き上げる雨風』には弱い、という特徴があります。これは、切妻屋根でも同じ。
そこで、下からの雨風を防ぐ役割を担っている部分が『破風板』と呼ばれる部分。
この部分は、切妻屋根の…というよりも『屋根として、構造上重要なポイント』。また、軒が短い/ない場合の切妻屋根を採用している場合、より雨風に晒されやすくなるため、十分な注意が必要です。
しっかりと防水加工がされているポイントではありますが、防水加工は長くても10年ほどで劣化してしまうもの。定期的に『水が染み込んだようなシミができていないか?』をチェックしておくとよいでしょう。
チェックポイント3.妻側の外壁
切妻屋根の構造は真上から見ると4辺に分かれ、そのうち軒と雨樋のある2辺が平側、もう2辺が妻側と呼ばれます。
妻側はそもそも『軒がない』構造…つまり、雨風や日光の影響によって『外壁からの雨漏り』リスクが高いポイントになります(一応ケラバという構造があり、100%完全に晒されるわけではありませんが)。
ようは、切妻屋根を採用している家屋の数少ない『共通的な弱点』といえます。
外壁にヒビが入っていないか?シミが出来ていないか?を定期的にチェックしておきましょう。
チェックポイント4.軒天
最後のポイントは『軒天』。軒天とは軒の裏側、簡単に言えば外壁から飛び出している屋根部分の裏側のことです。
あまり意識することがない部分ではありますが、じつは屋根の下地の保護、屋根裏の換気、とかなり重要な役割をになっっている部分です。
ここが劣化してしまうと屋根裏への雨水侵入に直結してしまうため、ぜひ定期的にチェックしてほしい部分。
特に『軒が短い(ない)』タイプの切妻屋根を採用している場合、かなり被害を受けやすい重要ポイントと言えます!
問題が見つかったら、素直に専門業者へお願いしよう
もしもチェックした結果、ヒビが入っていたり、水が染み込んだようなシミができていたり…といった問題が見つかった場合は、素直に専門業者へ連絡し、調査してもらうことをオススメします。
定期的なチェックを行う一番の理由は『大きな雨漏りトラブルに繋がる前に対処する』ためですからね。
特に屋根からの雨漏りは素人判断・対処が難しい部分でもあり、問題を放置するのは当然として、中途半端な対処では対応しきれない厄介な部分です。
ちゃんとした業者であれば無料で現地確認を行ってくれますので、せっかく定期的にチェックしているわけですから、問題が見つかったら早めの対処を心がけましょう!
一度発生してしまった問題は、放置しても自然に直ることはありません。早め早めの対処が、結果的に被害はもちろん、修理コストを下げる結果にも繋がりますからね。
切妻屋根と雨漏りの関係性について解説!:まとめ
では最後に切妻屋根と雨漏りの関係性をおさらいしてみましょう。
切妻屋根の『雨漏りに強い』といえる理由は…⬇︎
- シンプルな構造で繋ぎ目が少ない
- 雨漏りの原因特定が行いやすい
そんな切妻屋根でも『雨漏りリスクが高くなってしまう』例外的な3つの要因は…⬇︎
- 軒が短い、またはない
- 継ぎ目が多いタイプである
- ドーマーや天窓を設置している
切妻屋根を採用した家屋で定期的にチェックしたいポイントは…⬇︎
- 大棟
- 破風板
- 妻側の外壁
- 軒天
定期チェックでヒビやシミが確認できてしまったら…⬇︎
素直に専門家に相談しましょう!早期の対応が、結果的にトラブルだけでなく、修理コストを最小に抑えることにも繋がります!
しつこいようですが(笑)、基本的に『切妻屋根は雨漏りに強い』ことに間違いありません。
しかし、だからといって100%雨漏りしないということではありませんから、過信は禁物、ということですね。
雨漏りトラブルを起こさないよう、しっかりと対策を行っていきましょう!
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