サイディング外壁を選ぶなら知っておくべき雨漏り知識【種類別に解説】

この記事で分かるポイント!
  • サイディング外壁4種類のメリット・デメリット
  • 種類別の雨漏りリスクと予防法

家を構成するうえでなくてはならない外壁。屋根と並んで、一年中日差しや風雨から守ってくれる大事な箇所ですよね。

一口に外壁と言っても材質や作りは様々。そんな中でも現在、国内の住宅において広く採用されているのが『サイディング』と呼ばれる外壁です。

あなたが今家を建てる、もしくは購入を考えているのであれば、聞いたことがあるかも知れませんね。

サイディング外壁は、かなり人気があります。ハウスメーカーさんにも「外壁にはこれがオススメですよ」と言われることもしばしば…。実際に、サイディング外壁はメリットも多く、おすすめの外壁であることは確かです!

ですが、一生住むかも知れない家屋…メリットはもちろん、しっかりと『デメリット』も理解したうえで、最適な外壁を選びたいところですよね。

というわけでこの記事では、サイディング外壁のメリット・デメリットをまとめています!

…が、やはり私たち雨漏りの匠は『雨漏りの専門家』。ただメリット・デメリットをまとめるだけでなく『雨漏りリスクと予防法』の目線についてもしっかりまとめてみました!

目次

サイディング外壁とは、どのような外壁?

まずは簡単に、そもそも『サイディング外壁とは、どのような外壁か』をご説明しておきます。

サイディング外壁とは『サイディングボード』と呼ばれるパネルを貼り合わせて構成された外壁になります。

以前はモルタルという素材をを使った『塗るタイプ』の外壁が主流でしたが、現在ではこのサイディング外壁がトップシェアとなっています。

サイディング外壁がトップシェアを誇るのは、大きく3つの特徴があるからです(ただし、サイディングの種類によって多少変動します。詳しくは次節以降で説明しますね)。

サイディング外壁の3大特徴
  • 工期が短い
  • 低価格
  • デザインが豊富

モルタルは職人さんが手作業で仕上げるのに対して、サイディングは工場で作られたパネルを貼り合わせる施工になります。だからコストも少なく、工期も早いという特徴があるんですね。

また、デザインも豊富ですから、好みの外壁にしやすいのも人気の一つでしょう。

これらの特徴から、現在では多くの家屋に採用されている、人気の外壁になっています!

サイディング外壁の雨漏りリスクについて

結論から言えば、サイディング外壁にも雨漏りのリスクはもちろん存在します。

特にサイディング外壁において注意すべき雨漏りポイントとして、サイディング外壁が『パネルを貼り合わせて作る構造上、隙間が多くなりやすい』という点にあります。

塗るタイプのモルタルと違い、サイディングはパネルを一枚一枚張り合わせます。そのため、どうしてもパネルの間に隙間ができるんですね。

隙間は家屋の『弱点』そのもの!

こういった隙間は雨水の侵入原因となりやすく、家屋の弱点と言っても過言ではありません。

もちろん隙間はコーキング(隙間を埋める柔らかいゴム状の材質)で埋めていますが、コーキングはどうしても日光や風雨によっての経年劣化により、時間の経過とともに傷んでしまいます。

コーキングの寿命はおよそ5~10年になります。どのような素材でも、永久に劣化しない素材というものはありません。

サイディング外壁は構造的に隙間が多い分、コーキングの劣化は雨漏りリスクを一気に増大させる要因になるということですね。

サイディング外壁からの雨漏りを未然に防ぐには?

確かに構造的な雨漏りリスクはありますが、それを踏まえても選ぶメリットの大きいサイディング外壁(そもそも絶対雨漏りしないなんて外壁はありませんからね)。

どんな外壁でも言えることではありますが、大切なのは『雨漏りリスクを理解した上で、しっかりと予防を行うこと』です。

予防とは、『定期的なチェックとメンテナンス』!と言っても、都度業者さんを呼んでがっつりチェックしてもらっていては、相当なコストがかかってしまいますよね(汗)。

ですが、サイディング外壁は、家主であるあなたのセルフチェックでも十分な予防をすることが可能です。

そこで、ここからは『サイディング外壁で行うべきセルフチェックポイント』についてお話していきます。

じつは、ひと言で『サイディング』といっても、その材質にはいくつか種類があります。そして、種類によって注意点も変わってくるんですね。ですから、しっかりと各種類別にご説明していこうと思います。

サイディング外壁は、おもに以下の4種類があります。

  1. 窯業系サイディング
  2. 金属系サイディング
  3. 樹脂系サイディング
  4. 木質系サイディング

1.窯業系サイディング

原料はセメントや繊維質を混ぜたもので、窯(かま)の中で高熱処理されて製造されることから窯業系と呼ばれています。

じつは、4種類の中でも最も多く選ばれているのがこの窯業系(ようぎょうけい)サイディング。サイディングといえばこれ!と言われるほど代表的な材質になります。

窯業系サイディングのメリット

  • デザインのバリエーションが豊富
  • 価格が安い
  • 工期が短い
  • 優れた耐火性

窯業系サイディング外壁は、本記事の冒頭で挙げた『サイディングの人気理由』がすべて当てはまっています。

特に、家を建てる、もしくは購入するにあたって『価格が安い』というのは、やはり大きな魅力ですね!

窯業系サイディングのデメリット

  • コーキングが劣化しやすい
  • 素材自体に防水性はなく、吸水しやすい
  • メンテナンス頻度が高め(8~10年程)

じつは、窯業系サイディング自体に防水性はありませんので、塗装での保護が必須です。塗装が剥がれてしまうと、窯業系サイディングは簡単に雨水を吸い込んでしまいます…。

特に冬場は注意が必要です。外壁に吸水された水分が凍って、溶けて…を繰り返すと、外壁に大きなダメージが発生します。これによりひび割れなどの損傷が発生し、雨漏りに繋がってしまう事例が多々あるんですよ。

また、コーキングも完全に露出されているため、日差しや雨風の影響を受けやすく、劣化が早い、という欠点があります。

窯業系サイディングで行いたいセルフチェック!

  • 外壁にチョーキングは発生していないか?
  • 外壁に亀裂やヒビは入っていないか?
  • 外壁にコケやカビが発生していないか?
  • コーキングに剥離やヒビが発生していないか?
  • コーキングに欠落(一部が剥がれたり、欠けたり)していないか?

特に、外壁にチョーキング(塗装の色成分がチョークの粉のように表面に現れる現象で、塗装劣化のサインになります)が発生していないか?コケやカビが発生していないか?は要注意です。

窯業系サイディング自体に防水性がないため、塗装が剥がれてしまうと、簡単に雨水を吸収してしまいます。外壁にコケやカビが生えているということは、サイディング自体がすでに雨水を吸収してしまっている可能性が高くなります!

また、窯業系サイディングの場合、コーキングが外部に露出していて劣化が激しいため、こちらもしっかりとチェックしましょう。

コーキングの場合、ホームセンターなどで売っているコーキングを使うことで、ご自身でもある程度の補修は可能です。

ですが、外壁状態に問題がある場合は、ご自身での対処はかなり難しいと言えます。この場合は、塗装業者などにメンテナンスを依頼することも視野に入れてください。

2.金属系サイディング

その名のとおり、アルミやスチール、ガルバリウム鋼板など金属を使ったサイディング外壁。窯業系に次いで人気のサイディングになります。

金属系サイディングのメリット

  • 軽量
  • 耐震、断熱性に優れている
  • 高い耐久性
  • 防音効果
  • 防水性に優れ、凍害に強い
  • メンテナンス時期は10~15年と窯業に比べて長め。

金属系サイディングの大きなメリットとしては『高い耐久性』があります。

ひび割れを起こしにくく、さらに防水性が優れていて、凍害も起きづらい、という特徴があります。

メンテナンス時期も窯業に比べて長めとなるので、そこも大きなポイントでしょう。

金属系サイディングのデメリット

  • デザイン性の自由度は低め
  • 価格はやや高め
  • サビ、傷がつきやすい

金属系のデメリットで大きなポイントが『傷とサビ』。

たしかに材質自体にひび割れは起きにくいですが、金属のため傷は付きやすいんですよね。ちょっとした傷でもそこからサビが発生し、それが外壁の劣化に繋がってしまうんです。

また、他のサイディング種類に比べ、少々デザインの自由度が低いというデメリットがあります。このデメリットがあるため、窯業系サイディングを選ぶケースが多くなります。

金属系サイディングで行いたいセルフチェック

  • 外壁にキズやサビはないか?
  • コーキングに剥離やヒビはないか?
  • コーキングに欠落はないか?

金属系サイディングでもっとも注意すべきは、キズやサビです。雨漏りが発生する原因の多くは、こういったキズやサビになります。サビが発生すると金属系サイディングは一気に強度が落ちてしまうので、このような現象を見つけたら、すぐに専門家に相談した方がよいでしょう。

また、コーキングにも少し注意が必要です。

窯業系と違ってコーキングの露出が少ないので、劣化しにくいという特徴があります。ですが、露出が少ない分、目視しにくいため、気付かないうちにコーキングがボロボロになっているケースも…。

あまり神経質になる必要はありませんが、少し気をかけておいた方がよいかも知れませんね。

3.樹脂系サイディング

塩化ビニル樹脂を素材としたサイディング外壁。分かりやすく言うとプラスチックの一種ですね。今のところ、日本での普及はあまりありません。おもに北米で多く採用されています。

樹脂系サイディングのメリット

  • トップクラスの耐久性
  • 超軽量
  • 耐水性が高く、凍害にも強い
  • 変色しにくい
  • 場合によってはコーキングのメンテナンス不要

見てもらったら分かるように、4種類の中ではかなりのハイスペックな材質です。

耐久性においては耐用年数が20~30年。これに関しては窯業系サイディングも同じくらいですが、大きな違いは『塗装がいらない』ということ。そのまま手入れ不要で30年暮らせることも少なくないくらい優れた材質です。

樹脂系サイディングのデメリット

  • 製造、販売メーカーや施工できる業者が国内では少ない
  • デザインの自由度は圧倒的に少ない
  • 価格は一番高い

この材質のデメリットはずばり『国内で扱える業者が少ない』こと。

これだけメリットの高い樹脂系サイディングが、国内であまり普及していないのはこれが大きな理由です。

扱っている業者が少ない理由の1つに『サイディング素材の中で、もっとも効果である』という部分があります。やはり価格が高い分、採用されるケース自体も少なくなるため、取り扱う業者が少ないんですよ。

樹脂系サイディングで行いたいセルフチェック

じつは、これといってありません(笑)。

『メンテナンスフリー』とも言われるのがこの樹脂系サイディング。コーキングすら不要な場合も多く、塗装も不要です。なので、これといったメンテナンスがないんです。

もちろん強風などの外的要因によって破損するケースなどはありますので、絶対無敵ではありませんが…樹脂系サイディングは、非常にメンテナンス性に優れた外壁と言えるでしょう。

価格が高く、取り扱っている業者も少ないというデメリットはありますが…非常に優れた外壁と言えます。サイディング外壁を検討されている場合は、一度業者に相談してみてもいいかも知れませんね!

4.木質系サイディング

その名のとおり、天然の木材を使用したサイディング外壁。他にはない独特の素材感や温かみが特徴です。

木質系サイディングのメリット

  • 天然木材ならではのぬくもりある質感
  • 断熱性が高い

木質系を選ぶ一番のメリットはやはり天然木材ならではの質感でしょう。

窯業系や金属系でも『木目調』はできますが、人工的な感じはどうしても否めません。

木質系サイディングのデメリット

  • 窯業系や金属系に比べ価格が高い
  • 水分に弱い
  • 経年劣化しやすい
  • メンテナンス頻度が高い(3~10年に塗装は欠かせない)

唯一無二の質感のある木質系サイディングですが、やはり『水分に弱い』のが最大のデメリット。そのため塗装メンテナンスは欠かせず、早ければ3年ほどで必要になることも。

木材が水分を含んでしまうとやはり腐食の原因となり、雨漏りリスクは高まります。また、水分を含んだ木材はシロアリの大好物。シロアリが住み着くことで家屋の耐久性に大きな影響を与えてしまうんですよ。

木質系サイディングで行いたいセルフチェック

  • 外壁にチョーキングが発生していないか?
  • 外壁にコケやカビは発生していないか?
  • 外壁にひび割れや破損が発生していないか?
  • 外壁が反っていたりしないか?

他のサイディング素材と比べても圧倒的に水分に弱いため、防水面を徹底的にチェックすべきです。チョーキングの発生は、塗装強度の劣化を示す大切なサインですね。

カビやコケの発生有無は、外壁自体に水分が吸収されてしまっていないかのチェック材料になります。それだけでなく、カビやコケは腐食の直接的な原因となるため、木材が腐ってしまうことに直結しますので要注意!

また、外壁に『反り』が発生している場合、外壁が水分を含んだことで膨張が発生し、歪みに繋がっている可能性があります。よって、外壁が反っていないかもしっかりチェックする必要がありますね。

木質系サイディングはその外見や質感から唯一無二性はありますが、かなりメンテナンスに気を使う必要がある種類と言えるでしょう…。

どの種類でも100%雨漏りを防ぐことはできない!

それぞれにいろんなメリットやデメリットがあるサイディング外壁。

ですが、種類によっては雨漏りに強いものもあれど、どのような外壁であっても100%雨漏りが起きない外壁は絶対にありません。

どの種類にも共通して言えるのはやはり普段からのセルフチェック、そして定期的なメンテナンスです。

ただしセルフチェックも限界はありますし、なにより雨漏りの発生原因は複雑です。雨漏りが疑わしいと感じた時や被害が出てしまった場合はすぐに専門業者に相談するようにしてくださいね。

サイディング外壁を選ぶなら知っておくべき雨漏り知識:まとめ

では、最後にここまでの内容をまとめてみましょう。

サイディング外壁の雨漏りリスクと注意点は…⬇︎

パネルを張り合わせているので、隙間が多くなる。その隙間は雨漏りの原因になりやすい『弱点』である!

サイディング外壁の雨漏りを未然に防ぐには…⬇︎

雨漏りのリスクを理解して、定期的なチェックとメンテナンスをすること!

窯業系サイディングで特別注意すべきポイントは…⬇︎

窯業系サイディングのチェックポイント!
  • 特にコーキングが傷みやすいので、破損等しっかりチェック!
  • 防水性に不安があるため、塗装状況をしっかりチェック!

金属系サイディングで特別注意すべきポイントは…⬇︎

金属系サイディングのチェックポイント!
  • とにかく『サビ』に注意!
  • コーキングが見えにくくなっているので、少し気にかけてあげるよなお良し!

樹脂系サイディングで特別注意すべきポイントは…⬇︎

樹脂系サイディングのチェックポイント!
  • メンテナンス性は最強!あまり心配なし。
  • とはいえ外的要因で破損は起こりうるので、定期的な破損チェックを!

木質系サイディングで特別注意すべきポイントは…⬇︎

木質系サイディングのチェックポイント!
  • とにかく水分に弱い…塗装の劣化は徹底チェック!
  • 外壁がすでに水分を吸収していないか、カビやコケ、反りなどを徹底チェック!
  • シロアリが発生すると大変なことに…こまめなチェックが必要不可欠!

さて、今回は『雨漏りの専門家として』サイディング外壁の雨漏りリスクも含めてまとめたので、少しデメリット部分に不安を感じてしまう内容になっていたかも知れません(汗)。

ですが、正直…これらデメリットを踏まえても『サイディング外壁は十分にメリットが大きく、採用をオススメできる外壁』です!だからこそ、現在日本でトップのシェアとなっており、多くの人に選ばれているわけですからね。

何度も言うようですが、そもそも、どんな外壁でも雨漏りを100%防ぐことはできません。そして、正しい知識をもとにしっかりとチェック&メンテナンスしてやれば、トラブル発生を未然に防ぐことも十分可能です。

ぜひこの記事の知識を、これからの住宅選びや暮らしに役立ててくださいね。

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