じつはトタン屋根は、数ある屋根の種類の中でも『かなり雨漏りリスクの高い屋根』。この記事をご覧になっているということは、今まさにトタン屋根の雨漏りでお困りなのではないでしょうか?
1990年ごろは、多くの家屋にトタン屋根が採用されていました。今でも、一部の家屋や倉庫などの建造物に広く採用されている、代表的な屋根材の1つ。
この記事では
- トタン屋根の雨漏りリスクや発生原因
- トタン屋根でチェックしておきたいポイント
- トタン屋根で雨漏りしたときの応急処置
と、トタン屋根に関する『雨漏りの専門家目線』情報をぎっしりと詰め込んで起きました。きっとあなたのお悩みを解決できる手助けになれるので、是非とも目を通してみてくださいね。
トタン屋根の特徴から見る雨漏りリスク

なぜトタン屋根は他の屋根材と比べて、雨漏りリスクが高いのか?それはトタン屋根のデメリットにあります。
- 屋根材の中でも耐用年数が一番短い
- サビが発生しやすい
- 緩勾配で水が溜まりやすい
- 軽量であるがゆえ、強風に弱い
トタン屋根は価格や安いというメリットがありますが、上記のようにかなり『デメリットの多い』屋根と言えます。この中でも、いくつかのデメリットは屋根にとって結構致命的なデメリットなんですよね(汗)。
屋根材の中でも耐用年数が一番短い
耐用年数は屋根材の寿命。単純にこの寿命が『屋根材の中でもっとも短い』わけです。
以下に分かりやすく各屋根材の耐用年数をまとめてみました。
- 粘土瓦→50~100年
- ガルバリウム屋根→20~30年
- スレート屋根→15~25年
- トタン屋根→10~20年
上記を見て分かるように、トタン屋根は特に耐用年数が短いことが分かります。同じ金属製のガルバリウムと比べても10年ほどの差がありますよね。
耐用年数に近づいた屋根は劣化により破損やズレが生まれてしまいます。ここから雨漏りしてしまうわけです。耐用年数が一番短い屋根→もっとも経年劣化の雨漏りが訪れやすい→雨漏りの心配なく暮らせる時間が短い、ということですね。
サビが発生しやすい
トタン屋根の材質は金属。金属なのでサビるのは当たり前と言えば当たり前ですが、金属屋根だからと言ってすぐにサビるわけではありません。
トタン屋根の表面は塗膜、亜鉛メッキ、鋼板(トタン屋根そのもの)の3層構造となっており、塗膜と亜鉛メッキがサビを保護してくれているんです。…が、経年劣化によりこの塗膜は徐々に剥がれ、亜鉛メッキも劣化していくと銅板が露出していきます。
先ほども少しお話したように、トタン屋根は特に『耐用年数が短い屋根材』ですから、経年劣化が訪れる時期も早く、つまりサビに弱くなりやすいんですよね。
金属屋根は錆びてしまうと耐久性が大幅に低下してしまい、簡単に破損→雨漏りという連鎖に繋がってしまいます。
緩勾配で水が溜まりやすい
トタン屋根は比較的勾配が緩い場合が多い屋根。勾配が緩いと水の流れが悪く、屋根上に雨水が滞留しやすいんです。
その分、屋根面が水に触れる時間も長くなるため、他の屋根に比べて『劣化が進みやすい』というデメリットがあります。
軽量であるがゆえ、強風に弱い
軽量な屋根材というのは、そのぶん風の影響を受けやすくなります。台風のような強風災害では、屋根材が吹き飛ばされてしまう…という被害もよくある話です。
トタン屋根は屋根材の中でももっとも軽い部類なので、強風による破損リスクはどうしても高くなってしまいます。
強風によって屋根材の一部が吹き飛ばされたりすれば、屋根の下地が直接雨に晒されることに…。こうなってしまっては、あっという間に雨漏りまで進行してしまうでしょう。

軽量な屋根材というのは『地震に強い』というメリットにも繋がりますので、一概に完全なデメリットとも言えません。
トタン屋根の主な雨漏り原因

ここからはトタン屋根で雨漏りが起きてしまう原因を詳しく紹介していきます。
主な発生原因は以下の3つ。
- サビによる破損(穴あき)
- 強風による屋根のめくれ
- すがもり
原因1.穴あき
トタン屋根の雨漏り原因でもっとも多い原因がこちら。
先ほどもご説明した通り、トタン屋根はとにかく『錆びやすい』屋根。これはもうシンプルな話ですが、サビ被害がひどくなると、素材が腐食して『トタン屋根自体に穴があく』んですよ。
一応トタン屋根の下にはルーフィング(防水シート)があるので、すぐに雨漏りというわけではありません。が…これも先程も言ったとおり、トタン屋根は緩勾配で雨水が滞留しやすいという特徴があります。
サビで穴があく→緩勾配で対流した雨水が流れ込む→ルーフィングが一気に劣化→雨漏り…という感じで、一気に被害が進行してしまうわけです。
原因2.強風によるトタン屋根のめくれ
原因1に比べると頻度は高くはありませんが、軽量なトタン屋根だからこそあり得る雨漏り原因がこちらですね。
トタン屋根自体が吹き飛ばされると、屋根材の下地が剥き出しとなるので、当然雨漏りが起きてしまいます。
トタン屋根の家屋にお住いの方は、台風の前後は特に屋根の状態に気をつける必要がありますね。
原因3.すがもり
これはちょっと地域限定の話に近くなりますが、トタン屋根に多い雨漏り原因に『すがもり』と呼ばれる現象があります。
すがもりとは、東北地方の方言から作られている言葉で、”すが(東北地方の方言で『氷』の意味)”から漏れる、つまり『つららによって発生する雨漏り』のことを指します。
屋根の軒先にできたつららが堤防のようになり、水をせき止め、それが原因で雨漏りが起きてしまうんですね。

トタン屋根の雨漏りは早期メンテナンスが鍵!

トタン屋根で重要になってくるのが『メンテナンス』。トタン屋根は『いかに早期に対応できるか?』が鍵を握っています。
ここまで説明したとおり、トタン屋根の一番のウィークポイントはサビ。サビが進行して大きな穴にまで被害が進行すると、ちょっとした修理では完全直せません。
- 屋根葺き替え(屋根材を丸ごと取り換える施工)
- カバー工法(既存の屋根の上に新しい屋根を被せる施工)
などの対応が必要となってしまい、かなり大掛かりな作業になってしまいます(その分、修理コストも高くなってしまいます…)。
デメリットをしっかり理解し、早め早めのメンテナンスを心がけ、被害が発生・進行する前に対処していくことがトタン屋根の雨漏りを防ぐ一番の方法。
メンテナンス周期は?
トタン屋根の耐用年数は10~15年。ですから、10年目を迎える前が1つの重要なポイントです。あくまで目安ですが、7〜10年目あたりで一度『塗装メンテナンス』を実施することをオススメします。
耐用年数が近づくと劣化や塗装剥がれによりサビやすい状態になっています。ここで塗装メンテナンスを行うことで、トタン屋根の劣化、サビを防ぐことができます。
できればやっておきたい『定期チェック』
耐用年数はあくまで目安であり、状況によっては耐用年数を前に劣化が始まる可能性もあります。
「まだ余裕だと思ってたのに雨漏りが…」という事故を防ぐためにも、できるだけ定期的に状態をチェックしておくとなおよしですね。
- 屋根の変色
- チョーキング
- 傷
- 塗装剥がれ
- サビの有無
チェックポイント1.屋根の変色
目で見て、屋根に変色している箇所がないか調べます。
トタン屋根の表面を保護している塗膜が変色している場合、それは『劣化のサイン』。
防水性が低下していることには間違いはないので、注意が必要でしょう。(たとえ耐用年数に余裕があっても)場合によっては塗装メンテナンスを検討しても良いかも知れません。
チェックポイント2.チョーキング
屋根に登れるのであれば、表面を触ってみましょう。
チョーキング現象と言って、手に白い粉が付く場合は素材が劣化している証拠です。
このケースも同様に塗装メンテナンスの検討をしてもいいかもしれません。
チェックポイント3.傷
屋根表面に傷がないかチェックしてみましょう。
トタン屋根のウィークポイントであるサビは、こういった傷からも発生するからです。
わずかな傷だとしても、そこから急速にサビが進行してしまう危険があるので、場合によっては防水テープなどで補修をすことを検討しても良いでしょう。
チェックポイント4. 塗膜剥がれ
この症状が見られたら、早急に対処する必要があります。
トタン屋根がサビないのは、表面を塗膜で保護しているから。塗膜が剥がれてしまえば、防御力は著しく低下してしまいます。
この状態になると、サビ発生→進行まではあっという間。早急に塗装メンテナンスの検討が必要です!
チェックポイント5.サビ
錆びていないかどうかは、言うまでもなく要チェック!
サビがある場合、かなり危険な状態です…。少なくとも屋根の機能は大幅に低下していると思っていいでしょう。
軽度なサビならまだいいですが、すでに穴が空いている場合は塗装メンテナンスなどでは対応できません。というより、穴が空いてしまっている場合、多くのケースで『すでに雨水が侵入している』状態です。
(まだ侵入量が少量なで、家屋内に目に見える被害が出ていない状態です)。
また、穴があくほど錆びている箇所があるということは、他の部分もかなり限界にきている可能性が高いでしょう…ここまで来ていたら、メンテナンスでなく『修理』を検討すべきレベルとも言えます。
チェックで傷やサビが見つかったら?
そのまま放置すると、ほぼ確実に『一気に被害が進行し、雨漏りまで一直線』です。
屋根に傷やサビ、小さな穴などが見つかった場合は、すぐに防水テープなどで補修するのがお手軽な応急処置です(その場合、傷口まわりはキレイに拭いてあげるとより効果的)。
被害箇所が複数箇所に広がっているようなら、ブルーシートなどを被せるのも良いでしょう。
問題が見つかったら、必ず業者に相談しよう!
傷やサビに対する防水テープやブルーシートなどの対応は、あくまで『応急処置』でしかありません。
すでに発生しているトラブル自体を直すものではありません。時間経過とともに間違いなく症状は少しずつ進行していきます。
そして(トタン屋根に限らずですが)、屋根修理は専門的な技術と経験が必要なので、自分での修理対応はかなり難しい領域です。『直したつもりが、知らず被害を広げていた』ということもあり、最悪の場合は逆効果になることも…。
金銭などの問題も絡みますので『必ず直しなさい!』とは言えません(汗)。が、少なくとも専門家に相談し、いくらぐらいで直るものなのか?を確認してみるくらいは、必ずやってほしいところです(結果、修理する/しないを選ぶことができるわけですからね)。

トタン屋根の雨漏り修理は火災保険が使える可能性高め!

契約内容にもよりますが、トタン屋根の雨漏りトラブルは『火災保険が使える』というケースが少し多め。
なぜなら…トタン屋根の雨漏り原因として挙がりやすい『強風によるトタン屋根のめくれ』は、火災保険でいう『風災』そのものだからですね。
あなたの家屋で起きた雨漏りの原因が強風などの自然災害によるものだと判断されれば、火災保険を適用することができるかも知れません。
残念ながら、サビなどの劣化が原因の場合、火災保険が適用されません。
火災保険に関しては、以下の記事に詳しくまとめていますので、よければ参考にしてみてください。

トタン屋根の雨漏りリスクが高い理由と、その対策.まとめ

少々長くなりましたが、ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
最後に要点をまとめますね。
雨漏り専門家から見た、雨漏りリスクに直結する『トタン屋根のデメリット』は…⬇︎
- 屋根材の中でも耐用年数が一番短い
- サビが発生しやすい
- 緩勾配で水が溜まりやすい
- 軽量であるがゆえ、強風に弱い
トタン屋根の主な3つの雨漏り原因は…⬇︎
- サビによる穴あき
- 強風によるトタン屋根のめくれ
- すがもり
トタン屋根の家屋でもっとも重要なポイントは…⬇︎
定期的なメンテナンス!早期の発見&対応が、命運を分けます!
トタン屋根は他の屋根材の中でも、雨漏りリスクが高いと言える屋根。しかし、定期的なチェックとメンテナンス、そして万が一の際には応急処置を素早くを行えば、被害を最小限に食い止めることも十分に可能。
トタン屋根がもっとも多く採用されたのは1990年ごろ。ここから逆算すると、すでに大半のトタン屋根は、その耐用年数を大幅に上回っています。
これまで全然メンテナンスしてなかった…という人は、ぜひ一度チェックしてみてくださいね!もしもトラブルの傾向が見られた際には、気兼ねなく当社までご相談ください!
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