- 屋根勾配と雨漏りリスクの密接な関係性について
- 屋根勾配が緩い場合の雨漏り対策
家屋の中でも、特に目立つパーツの1つである『屋根』。
ですから見た目はもちろん大事!…ですが、家屋を雨から守ってくれるための『盾』でもありますから、機能性も重要視したいところですよね。
家屋を購入したり、新築を建てたり…といった場合、防水性などを考えて材質や形状を考える方は結構多いのですが…どうでしょう、『勾配』は考慮はしているでしょうか?
じつはこの屋根勾配も、雨漏りと密接な関係性があり、非常に重要な項目なんです。たんに『緩ければいい』『急ならいい』と一概に言うこともできないので、余計に重要な項目なんですよ。
この記事では、『屋根勾配と雨漏りリスクの密接な関係性』についてまとめてみましたので、興味があれば、ぜひ読んでみてくださいね。
屋根の勾配と雨漏りリスクの関係
屋根勾配とは屋根の角度、傾斜のこと。簡単にいえば『どれだけ傾いてるか』の度合いのことですね。
屋根勾配は降ってきた雨や雪を屋根に溜めず、逃がしてあげるために必要なものです。
たとえば傘にも傾斜があると思いますが、もしも傾斜が無かったら雨水が傘の上に溜まってしまいますよね?それと同じで、降ってきた雨を溜まらないように、適切に逃がす役割をしているのが屋根勾配なんです。
つまり緩い勾配の屋根であればあるほど、屋根上に雨水が滞留しやすくなってしまいます…。
雨水の滞留は被害につながる!
雨水の滞留は、そのまま屋根材の劣化に直結します。塗装が剥げてきたり、表面にひび割れが起きてきたり…被害は様々です。
屋根材は、長く水に触れていると劣化してしまいます劣化の先に待っているのは…皆様ご存知の雨漏りです。
事実、雨漏りの原因の多くが『劣化』によって引き起こされるんですよね。
つまり、屋根勾配が緩い→雨水滞留が起こりやすい→屋根が劣化→雨漏り…という関係性。ですから『屋根勾配が緩い = 雨漏りリスクが高い』という図式になります。
“3種類”の屋根勾配:それぞれの特徴と雨漏りリスク
屋根勾配といっても、その角度は様々。完全に細分化すると本当にキリがないので、代表的な以下の3つに分類して話を進めていきます。
- 急勾配(6寸以上)
- 並勾配(3~6寸弱)
- 緩勾配(3寸未満)
“寸”で表されてもイメージがつきにくいかと思いますので、角度に変えると以下のような形になります。
- 6寸→約30°
- 5寸→約26°
- 4寸→約21°
- 3寸→約16°
種類1.急勾配(6寸以上)
代表的な3種類の中でも、最も急な勾配の屋根です。
- 排水性が高い
- デザイン性の高い見た目
- 屋根裏のスペースを確保できる
- 風の影響を最も受けやすい
- 工事費用は高め
屋根勾配の雨漏りリスクで考えると排水性が最も高く、雨水が滞留しての劣化は起こりづらいでしょう。
この観点で見ると、急勾配が一番優秀かのように思ってしまうかもしれませんが…じつはそうとも言い切れず(汗)。その理由はデメリットにある『風の影響を受けやすい』という点です。
急勾配タイプは台風などの影響による破損に注意!
急勾配の屋根は、他の勾配に比べて風を横から受ける面積が大きくなってしまいます。
この影響で、風の影響をモロに受けやすくなるんですよ。
もちろんちょっとやそっとの風ではなんの問題もないんですが、『台風』などの特殊状況下では注意が必要。極端な話、屋根材が吹き飛ばされてしまうことも…。
だから急勾配だからと言って『雨漏りの心配がないというわけではない』ということは、しっかり覚えておきましょう(雨水の滞留には間違いなく強いです)。
並勾配(3~6寸弱)
ちょうど中間のオーソドックスな勾配です。
- 緩勾配よりも排水性が高い
- 急勾配よりも風の影響が少ない
- デザインが豊富で、どんな屋根材でも使用可能
- 個性的なデザインにはしづらい
“比較的バランスに優れる”という、いかにも『日本人に好きな人が多そうな特徴』ですね(笑)。
急勾配と緩勾配の中間である並勾配はそれぞれの利点を兼ね備えているため、3種類の勾配の中では『もっとも雨漏りリスクに強い』と言えるかと。
ただ、言い換えてしまうと…『風の影響も無いわけでなく、水が滞留しないわけでもない』ということなので…じつは、どの原因にも影響を受けるタイプとも言えます(汗)。
緩勾配(3寸未満)
3つの中でもっとも勾配が緩い屋根ですね。
- 風の影響は最も受けにくい
- 工事費用は低め
- 落雷被害が起こりづらい
- 排水性が最も低く、劣化しやすい
- 屋根の熱が室内に伝わりやすい
ここまでの説明でイメージがつくかと思いますが…排水性が低いため、劣化による雨漏りリスクは3種類の勾配の中ではもっとも高くなります。
しかし…急勾配の屋根と比べると風の影響は受けづらいため、台風などでのダメージは少なくなるといった利点もあります。
緩勾配の代表格『陸屋根』
緩勾配屋根の最たる構造が、陸屋根(ろくやね)です(最近は採用されている家屋も多いですね)。
勾配があるとかないとか以前に、勾配の全くない、フラットなデザインが特徴。
モダンなデザインで人気も高く、近年急増している屋根です。が…勾配がないため、雨水滞留が非常に発生しやすい構造。
(余談ですが、陸屋根は『上を人が歩くケース』も多く、特に劣化が激しいタイプと言えます)
勾配種類ごとのチェックポイント
雨漏りを未然に防ぐ最大のポイントは、やはり『定期的なチェック』。
勾配ごとに目を付けるポイントが異なってくるのは、先ほどまでのお話でなんとなく予想がつくかと思いますが…。
- 急勾配:台風や強風発生時/発生後に屋根に破損などが発生していないか
- 緩勾配:大雨後に、屋根に雨水が滞留していないか
- 並勾配:上記どちらも定期的にチェックがオススメ
オマケ:”陸屋根”は、さらに排水溝に要注意!
勾配がまったく存在しない陸屋根には、基本的に雨水を滞留させないための施策として排水溝が設置されています。
言い換えれば、この排水溝が詰まってしまうと…陸屋根は、滞留した雨水を排出する力がありません(汗)。さらに、勾配の無い屋根には風で飛ばされた落ち葉などのゴミが溜まりやすく、比較的詰まりやすいという悪循環…。
陸屋根の場合は、上記に合わせて『排水溝の定期チェック』は必須。ここを小まめに対応すると、かなり違いますよ!
急勾配屋根の場合、火災保険の出番かも!
急勾配の屋根が雨漏りするケースは、劣化よりも『(強風などによる)破損』が原因となるケースが多くなります。
ですので、急勾配屋根の方に関しては加入している火災保険を確認しておきましょう。というのも、火災保険には『風災』というものが含まれていることが多く、強風などによる『破損』は、これに当てはまるんですよね。
“経年劣化によるもの”と判断されると、風災認定はおりません…ですが、台風などの強風が原因として判断されると、雨漏り含め修理に火災保険が適用されます。
急勾配タイプの屋根を採用されている場合、いざという時に備えて『火災保険を内容』を確認しておくと、なお良いでしょう(もちろん急勾配屋根以外の方も、風災の際はぜひ活用しましょう!)。
屋根勾配が緩い/急な家の雨漏りリスク:まとめ
では今回の記事の要点をまとめていきますね。
屋根勾配と雨漏りリスクの関係…⬇︎
勾配の違いによって、特に注意すべきポイントが変わる!
3つの屋根勾配と雨漏りリスクの関係:急勾配…⬇︎
- 排水性が高く、劣化による雨漏りは起こりづらい
- 風に弱く、台風での雨漏りリスクは高い
3つの屋根勾配と雨漏りリスクの関係:並勾配…⬇︎
- 排水性も風の影響もそこそこ
- バランスに優れ、雨漏りのリスクは他よりも少ない
3つの屋根勾配と雨漏りリスクの関係:緩勾配…⬇︎
- 排水性が悪く、劣化による雨漏りが起こりやすい
- 風には強く、台風での雨漏りリスクは少な
各勾配ごとの要注意チェックポイント…⬇︎
- 急勾配:台風や強風発生時/発生後に屋根に破損などが発生していないか
- 緩勾配:大雨後に、屋根に雨水が滞留していないか
- 並勾配:上記どちらも定期的にチェックがオススメ
屋根を選ぶうえであまり意識しない屋根勾配。ですが、勾配は防水性に大きな影響を与えるので、雨漏りリスクとは非常に密接な関係があるとご理解いただけると幸いです。
雨漏りの匠では、つねによりより雨漏り修理をお届けするべく、日々知識と技術に研鑽を重ねています。
もしも雨漏り関連でお悩みや心配事、懸念があれば、いつでも気兼ねなくご相談ください!
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