瓦屋根特有の雨漏り原因を解説【5大要因】

この記事で分かるPOINT!
  • 瓦屋根特有の雨漏り原因
  • 瓦屋根で雨漏りが起きた場合の対処法

「日本の家の屋根といえば?」

と聞かれたら、多くの人が連想するであろう瓦屋根。住宅はもちろん、お寺などの昔ながらの建築物にも使われていて、結構頑丈そうなイメージがあるかも知れませんね。

『瓦屋根で雨漏りが発生した』という場合、おそらく真っ先に思いつく原因は『瓦のひび割れ』ではないでしょうか。

瓦屋根が雨漏りした場合、よくある原因の1つは確かに『ひび割れ』ですが…じつはそれ以外にも様々な原因があるもの。

というわけでこの記事では、『瓦屋根特有の雨漏り5大原因』をまとめました。あなたの家屋が瓦屋根を採用しているようなら、ぜひ一読してみてください。

目次

瓦屋根特有の雨漏り5大要因

では、さっそく本題に入っていきますね。冒頭でも言いましたが、瓦屋根で雨漏りが起きる原因はひび割れだけではありません。

ひび割れも含めた次の5つが、いわゆる『5大要因』になります。

キャプション5大要因
  1. 瓦のひび割れ・ずれ
  2. 漆喰の劣化
  3. ルーフィングの劣化
  4. 土の流出
  5. 施工不良

原因1.瓦のひび割れ・ずれ

じつは瓦自体は非常に耐久性が高いもの…なのですが、落下物や飛来物などの外的要因によって割れてしまうことが多く見られます。また、屋根の板金を止める釘が劣化によって錆び、それが膨張して瓦が割れるというケースも。

瓦が『ずれる』というイメージはあまり無いかも知れませんが、台風などによる強風や、瓦の固定材が劣化によって弱まり、その結果ずれてきてしまうこともあるんですね。

瓦が割れたりずれたりすると、その隙間から雨水が浸入し、下地を劣化させて雨漏りが発生してしまいます。

瓦屋根は部分的に重なっているため、ぱっと見だと見えないような部分が、じつは割れてる…なんて場合もあるので、注意が必要です。

豆知識.瓦は、地域によって割れるリスクが高くなる

たとえば雪の降るような地域では、凍害による瓦屋根の割れに注意が必要です。瓦屋根に付着した水分が凍っては溶けて…を繰り返すことによって瓦自体が膨張し、割れてしまうんですね。

また、海に近い沿岸部では、海水の塩分によって瓦がボロボロになってしまい、割れにつながる『塩害』という被害も発生します。

こういった地域にお住まいの方は、特に瓦屋根の破損に注意が必要と言えます。

原因2.漆喰の劣化

見慣れない単語かも知れませんが、『しっくい』と読みます。

漆喰は瓦屋根において

  • 瓦の接着
  • 瓦屋根の隙間を埋める

といった重要な役目を担うくらいに防火性・調湿機能に優れたものなのですが…年数の経過とともに劣化してしまうのは避けられません。

漆喰は瓦屋根の隙間を埋める素材…ここが劣化するということは『屋根瓦の隙間が開く』ということそのもの(汗)。こうなってしまっては、雨漏りは避けられません。

漆喰は10年程を目安にメンテナンスが必要と言われているので、築年数が10年前後の瓦屋根家屋は注意が必要です。

原因3.ルーフィングの劣化

ルーフィントとは、瓦屋根の下に設置されている防水シートのこと。

ルーフィングが設置されていることで、瓦の破損などにより雨水が侵入してしまったとしても、雨水が家屋内まで侵入するのを防いでくれます。だから、通常は『瓦の破損=即雨漏り』とはなりません。

つまり、このルーフィングが劣化するということは、ちょっとした瓦の破損やずれによる雨水で簡単に雨漏りするようになってしまう、ということ(耐用年数は素材や環境にもよりますが、概ね15ー20年ほど)。

ルーフィングは瓦屋根だけでなく、基本的にどの屋根材にも使用されていますが…瓦屋根は構造上(漆喰などで補強しているとはいえ)隙間が多い形状の屋根なので、雨水がルーフィングまで達しやすいという欠点があります。

そのぶん、瓦屋根のルーフィングは、他屋根材のルーフィングに比べて劣化しやすいというデメリットがあるので、注意が必要です。

原因4.土の流出

原因3で『防水シートとしてルーフィングが使われている』とお話しましたが、じつは昔ながらの瓦屋根はルーフィングではなく『土』が使われています(この土が、ルーフィングと同じ防水の役目を担っています)。

具体的に言うと、1980年より以前の瓦屋根では、この土を敷き詰めた『土葺きという工法』がよく利用されていました。

ただ…この土、特に住宅用の特殊な土とかいうわけでなく、シンプルに『ただの土』です。ルーフィングのように経年劣化で傷んでしまう…とかではなく、シンプルに『雨によって少しづつ流出』してしまい、隙間ができてくるんですよ(汗)。

古民家などの『昔ながらの住宅』だと、すでに大半の土が流れてしまっていることも珍しくありませんので、注意しましょう。

原因5.施工不良

いわゆる『人的要因』というやつですね。残念ながら、施工業者さんの施工不良で雨漏り…というケースも、やっぱり現実には起こり得ます。

ただ…施工不良はどの屋根にも起こり得るんですが、瓦屋根においてはそのリスクが少し高めなんです。

というのも、現在主流のスレート屋根に比べ、瓦屋根は技術的に難易度が高いんです。ですから、職人さんによるミスが起きやすいんですよ。

また、瓦屋根は構造が複雑になっている場合も多く、それだけ技術が求められるので、施工不良での雨漏りは起きやすくなってしまうんです。

【要注意】特に雨漏りリスクが高くなる瓦屋根の特徴

ここまででご説明した『5大要因』が、いわゆる瓦屋根特有の雨漏り原因になってきますが…瓦屋根は、素材や構造によって雨漏りリスクが変動するんです。

特に、次に挙げる2パターンは、瓦屋根の中でも『雨漏りリスクが非常に高い』と言えるタイプ。

リスクが高い瓦屋根
  • 構造が複雑
  • 素材がセメントやコンクリートの瓦

複雑な屋根構造の場合

複雑な屋根構造、と言われてもピンとこないかもしれません。たとえば、『構造が単純』と言えるタイプが、次の2種類。

  • 切妻屋根(オーソドックスな三角形の2面屋根)
  • 寄棟屋根(長方形型の4面屋根、)

これに対し、『構造が複雑』といえるタイプが次の2種類。

  • 入母屋屋根(寄棟屋根の上に切妻屋根を組み合わせた屋根)
  • 越屋根(切妻屋根などの上に小さな屋根組を組み合わせた屋根)

ようは、『屋根としてつなぎ目が多い』構造ほど『複雑な構造の屋根』と言えます。そして…この『つなぎ目』は、屋根にとって最大の弱点ともいえるポイントです。つなぎ目は、どうしても他の箇所と比べて水が浸入しやすく、屋根においてもっとも雨水の侵入リスクが高い箇所。

つまり、このつなぎ目が多い=複雑な構造の屋根の場合、ルーフィングの劣化や土の流出リスクの増加、施工ミス発生率の増加、(瓦の隙間部分を埋めている)漆喰劣化による雨水侵入リスクの増加…と、あらゆる要因リスクが増加してしまうわけですね(汗)。

セメント、コンクリート瓦の場合

基本的にどちらも同じ素材なので、以下『セメント瓦』で表記を統一します。

一般的な日本瓦は粘土でできていますから、耐久性が高く、塗装メンテナンスも基本的にほぼ不要という高性能。ですが…じつは瓦には『セメント瓦』というものもあるんです。

セメント瓦は、耐久性が低く、割れやすい。かつ防水性もないので、塗装メンテナンスによる防水処理が必須…と、非常に困った瓦(汗)。

最近の採用率はあまり高くはありませんが、万が一セメント瓦を使っている場合は、雨漏りリスクに十分に注意する必要があります!

瓦屋根からの雨漏りを自分で修理するのはオススメできない

『屋根の修理』って、なんとなく高そうなイメージがありますよね。最近はDIYブームということもあって「自分で修理をしようかな…」と考える方も少なく無いのですが…正直、瓦屋根の事故修理はあまりオススメできません。

オススメできない理由
  • 高所作業となるため危険
  • 被害拡大に繋がるリスクが高い
  • そもそも『修理が難しい』分類に入る

理由1.高所作業となるため危険

そもそも屋根=高所。足を滑らせて落下した場合、ケガで済めばまだいいですが、最悪の場合は命に関わることも考えられます。

専門家が屋根修理を行う場合でも、しっかりと足場を組んだり、2人1組で作業にあたったり、専門資格を持った職人によるロープアクセスを行なったり…と、徹底した安全対策をして臨む(望まなくてはいけない)作業。

当然ながら、素人がここまで用意して作業にあたるのはほぼ不可能ですよね。非常にリスクが高いので、基本的には『絶対に止めてください!』と言いたいところではあります。

理由2.被害拡大に繋がるリスクが高い

自分で行える雨漏り修理の代表格として『コーキング補修』というのもあり、簡単なひび割れや隙間の発生なら、この作業で補修することが可能です。…が、瓦屋根の場合、このコーキング補修が原因で、雨漏り被害が拡大するリスクがあるんですよね(汗)。

というのも、じつは瓦屋根には『あえて』隙間が作り、内部に入り込んだ雨水を排出する仕組みを用意する技法などがあるんです。自分で修理した場合、この『あえて作られていた隙間』を誤って埋めてしまうというケースが非常に多いんです。

これ、侵入した雨水の逃げ場が無くなってしまうことになりますよね。こうなると、屋根自体の劣化を促進させてしまったり、別の部分から雨漏りが発生したり…という被害拡大に繋がってしまうんです。

瓦屋根は、踏んで割ってしまうケースも多い!

忘れてはいけないのが『人間は重い』ということです(笑)。

瓦は非常に耐久性がある素材ですが、それでも下手な踏み方をすると割れてしまいます(そもそも、人間が乗って耐えることを目的としていませんからね)。

雨漏りを直そうとして、他部分の瓦を踏み割って、別の箇所から雨漏りしているようでは本末転倒…とにかく瓦屋根は
『素人作業が比較拡大につながる』リスクが高いので、オススメができないんです。

理由3.そもそも『修理が難しい』分類に入る

雨漏り発生要因の部分でも少し説明しましたが、基本的に瓦屋根は専門的な技術が必要で、屋根としては難しい部類に入ります。

ただでさえ雨漏り修理における『原因の特定』は非常に難しい作業であり、専門業者でも難航するケースがあるほど。ここに『瓦屋根』という特徴が加わると、専門家でも苦戦する現場になります。

専門家でも苦戦するわけですから、素人さんが自分で修理…という形で、雨漏りがちゃんと直るケースは希です(汗)。

【結論】瓦屋根の雨漏りは専門業者に連絡

『危険』『比較拡大の恐れ』『そもそも難しい』。この3大理由があるので、ご自身で修理をするメリットがほとんど感じられないのが、瓦屋根の雨漏り修理なんですよね。

瓦屋根からの雨漏りが確認された場合は、残念ながら『自分での修理』は考えず、雨漏り修理の専門業者に任せてしまうことをオススメします。

もちろん費用はかかりますが

  • 雨漏りはしっかり直る
  • 再発リスクも抑えられる
  • なによりあなた自身の安全が保証される

わけですからね。優良な業者さんであれば相談から現地確認、修理のお見積りまで無料対応が基本ですから、「費用が気になる!」という方は、まず相談から始めてみるといいかと思います!

『こんな場合』は保証や保険が使えるかも?

瓦屋根の雨漏りに関して、以下の場合であれば保証や保険が使えるかもしれません。

保証や保険が使えるかもなケース
  • 築10年以内の雨漏り
  • 自然災害による原因が疑わしい場合

築10年以内の雨漏りの場合

『住宅品質確保促進法(品確法)』という法律により、築10年以内に家屋の雨漏りを防ぐ部分に瑕疵があった場合は、『売り主が無償で補修しなければならない』と定められています。

簡単に言えば築10年以内で、売り主の原因によって雨漏りが起きた場合は、修理費用を要求できる、ということですね。

もし10年以内の雨漏りであれば、一度ハウスメーカーや業者に相談してみましょう。

自然災害による原因が疑わしい場合

この場合、雨漏り修理費用がまるまる『火災保険の適用対象』になる可能性があります。火災保険に加入しているならば、雨漏り修理に保険が適用され、修理費用が実質無料になることも!

じつは火災保険には『風災、雹災、雪災』などの自然災害が含まれていることも多いんです。たとえば『台風が原因で雨漏りするようになった』などは代表的なケースの1つで、条件に当てはまれば保険がおりるんですよ。

ただし..あくまでも『自然災害』が原因であることが大前提。経年劣化による雨漏りと判断された場合は残念ながら適用されません(汗)。

また、雨漏り修理で火災保険を適用する場合、そもそも『修理する前に』保険屋とのやりとりを行なっておく必要があります。すでに修理をしてしまった場合や、ご自身で修理作業を行なってしまった場合、たとえ自然災害が原因であったとしても、火災保険はおりなくなってしまいます!

こういった理由もあるので、まずは『雨漏り修理業者に無料相談』するのがオススメなんです(汗)。

瓦屋根特有の5つの雨漏り原因を解説.まとめ

では、最後にここまでの内容をまとめます。

瓦屋根特有の雨漏り5大要因は⬇︎

5大要因
  1. 瓦のひび割れ、ずれ
  2. 漆喰の劣化
  3. ルーフィングの劣化
  4. 土の流出
  5. 施工不良

より雨漏りリスクが高くなる瓦屋根の特徴は⬇︎

こんなタイプは要注意!
  • 構造が複雑
  • 素材がセメントやコンクリートの瓦

瓦屋根の雨漏り修理を自分でするのはおすすめできない理由⬇

3大理由
  • 高所作業のため危険
  • 被害を拡大してしまう恐れ
  • 瓦屋根の雨漏り修理はそもそも難しい

「屋根といえば?」でポンっとイメージされることが多い瓦屋根ですが、代表的なひび割れ以外にも、これだけの雨漏り原因があります。

ひび割れが雨漏り原因と思っていたなら、いつまでも『自分で修理→再発…』といういたちごっこにもなりかねません。

今回の記事情報を活かして、しっかりと対策してくださいね。

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